第百八十九話 D戦場のワルツ(笑)
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喧噪もテレーゼが来たことで収まりはじめているが、多くの士官達は先日のシェーンバルトに対する叱責を思い出して、エッシェンバッハが殿下を囮同然にした事で怒りを露わにすると言葉も出ない状態になっていた。
その姿を見たテレーゼがドヤ顔で言葉を放つ。
「この中で男なのは妾と司令長官、オフレッサーを含めた僅かの者だけのようね」
このセリフはフォークランド紛争時に英国首相であったマーガレット・サッチャーが慌てふためきオロオロする居並ぶ男共に放った言葉のパクリであったが、その言葉で、将官達は目を大きく開けた状態で呆然としていた。
「卿らにはなんの落ち度も無い、何故なら今回の件は皇帝陛下御自らが発案なさった事、その為に妾も協力し、叛徒共を誘き寄せる餌としてこの地へ来たのだから、エッシェンバッハは陛下の命に忠実なだけじゃ、気にする必要など何もない」
テレーゼの一言で、会議室は静寂に包まれた、皇帝陛下御自らが作戦を立て、自らの愛娘まで囮に使った言うのであるから、この一戦にどれ程陛下が賭けているかがヒシヒシと感じられたからであり、これは絶対に負けられない戦いで有り、愛娘を預けるほどに自分達の事を信頼して頂いているのかと思ったのである。
「恐れ多き事なれど殿下、殿下はご承知の上で要塞まで来られたのでありますか?」
グライフスが恐る恐る質問する。
「無論じゃ、卿らが最前戦で戦っている中、敵が来るからと妾が逃げるなど出来ようか。皇族として生まれたからには、それ相応の覚悟が必要じゃ。その時が今だと言うだけのこと、それに卿らを含めイゼルローンで戦っている全ての者を信じておるからこそ、妾の命を預けるのじゃ」
この言葉で、会議室に居た全員が平伏し皇帝陛下とテレーゼの威厳を在り在りと感じる事と成った。
「殿下にお見苦しいことをお見せし弁解の余地もございません」
エッシェンバッハが膝を着いてテレーゼに謝罪すると、会議室に居た全ての者が同じ様に膝を着き頭を垂れた。
「卿らが驚くのも詮無きこと、気にする必要など無い。卿らの忠心を妾は良く判っておる。卿らは卿らの出来ることを恙なく行って欲しい、それが陛下の御心と思って貰いたい」
テレーゼはこう言い、今までの無礼などは気にせぬ事と不問に処した。
「殿下のお言葉、胸に染み入りました」
エッシェンバッハが代表して感想を述べる。
「うむ、さて元帥、作戦の続きを伝えると良かろう」
「御意にございます。続きを伝えます」
エッシェンバッハが踵を返し、再度スクリーンを見て説明をはじめる中、テレーゼは貴賓席に座り見学している。
「まず、敵艦隊が、ウィリム・ホーランド少将、アンドリュー・フォーク中佐の発案で主力艦隊を囮としトールハンマーの射程ギリギリを出入りして我が艦隊と要塞の注意を引く中で、ホーラ
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