第百八十九話 D戦場のワルツ(笑)
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「要塞の断面図ですか?」
「うむ、卿らはこの断面図を見て何か思うとことがあるか?」
エッシェンバッハの質問に参謀達が図を眺めると、要塞の外壁付近に通常とは違う増加装甲のような物が見られた。
「閣下、外壁に何やら増加装甲の様な物が有りますが、これが手でしょうか?」
「うむ、要塞第一層外壁に貼り付けるように厚さ1kmの増加装甲を取りつけてある」
「1km」
「しかし、それほどの・・・・・・」
喧噪の中、エッシェンバッハが更に作戦案を示したことで、その作戦案の凄まじさに司令室が静寂に包まれ、エッシェンバッハの言葉だけが響いていた。
「だからこそ、敵艦隊にはイゼルローン要塞まで来て貰わねばならんのだ」
事の発端は、数時間前の将官級の最終会議での出来事であった。
エッシェンバッハがイゼルローン要塞の増加装甲を説明し始めた事からはじまった。
「外壁に1kmの装甲が・・・・・・」
宇宙艦隊の参謀達がざわめくなか、エッシェンバッハが徐に語り始めた。
「卿らに謝らなければ成らぬ事だが、今回の叛乱軍の攻撃は事前に想定されていたものなのだ」
その言葉に騒然と成る会議室。
エッシェンバッハの告白に要塞工事自体を請け負って完成させたシュトクハウゼン、ゼークト等のイゼルローン要塞駐留の者達も息を呑み愕然とする。
「閣下は、反乱軍の動きを呼んでいたと言う事ですか?」
グライフスは愕然としながらもそう聞くしか無かった。
「動きを読んだという言うよりは、さる筋からの情報に元付いて今回の作戦を立てた訳だ」
「ならば閣下、殿下の行幸を何故お止めにならなかったのですか!」
テレーゼの身を危険に晒したことで今後の災いを恐れている貴族出身の将官がエッシェンバッハを責めるように言う。
確かにそうである、敵が来るのが判っていながらテレーゼをイゼルローンに来させたこと自体で、エッシェンバッハは元よりこの場にいる皆が罪に問われるのではないかと言う恐れが、会議室全体をさざ波のように満たした。ある者は自己弁護のセリフを考え、ある者はオーディンに帰ったらエッシェンバッハだけのせいだと声高に主張しようと考え、又ある者は皇帝陛下の逆鱗に触れたと震えまくり、会議室全体が収集着かない状態になりつつ有った中、エッシェンバッハ、オフレッサー、ケスラー、ロイエンタール達など以外が慌てふためく中、会議室の重苦しい扉が開いた。
「皆、御苦労である・・・・・・なんじゃこの喧噪は」
渦中の人テレーゼがズザンナを引き連れて会議室へ入室してきたが、喧噪に包まれた司令部を見て一瞬言葉に詰まった。
「殿下、この様な場所に起こしとは」
エッシェンバッハが驚いたような表情の演技をしながらテレーゼを迎える。
会議室の
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