第百八十九話 D戦場のワルツ(笑)
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行命令をだしますか?」
グリーンヒルに言われたロボスは自信満々に命令を発した。
「ホーランド艦隊に命令“喜望峰へ向かえ”」
直ぐにグリーンヒル大将から通信士官に命令が下る。
「はっ、ホーランド艦隊に命令“喜望峰へ向かえ”」
ホーランド艦隊は主戦場から遠く離れた回廊の航行不能中域ギリギリに隠れるように待機していたが、旗艦ミサイル巡洋艦タイコンデロガでホーランド少将がその命令を受け取ると、破顔しながら大声で発信を命じた。
「いよいよイゼルローンの鉄壁に穴を空けて陥落させるときが来た。全艦発進せよ!」
その命令で帝国軍に気づかれないように航行不能中域ギリギリを通過し銀河基準面から見てイゼルローン要塞の左舷側に向かっていった。
同じ頃、イゼルローン要塞ではテレーゼが要塞司令部に拵えられた貴賓席で戦況を見ていた。流石に皇女が戦場にいるのは憚られる事で有ったが、数時間前の会議で有った事により、皆がテレーゼがこの場にいることを拒めない状態となっていたのである。
「閣下、敵艦隊はトールハンマーの射程距離ギリギリを出入りした状態で我が軍を挑発しております」
参謀の一人で有る大佐がエッシェンバッハに報告する。
「判っておる、敵の動きは我が艦隊の目をあの小艦隊から逸らすことにあるのだろう。我々はあの艦隊の動きを見逃さぬ事だ」
戦場の全体像を映し出している戦術スクリーンの一点をエッシェンバッハが指さす。先ほどの会議で説明された将官以外の将兵がその点を凝視すると三千隻程度のミサイル艦と揚陸艦の混成艦隊が隠れるようにイゼルローン回廊の航行不能中域ギリギリを微速で移動しているのが判った。
「これは、いったい何のために?」
「ミサイル艦と揚陸艦ならば、要塞へ陸戦隊を入れるつもりか」
「しかし、あの位置からでは要塞へ辿り着くことも難しいのでは?」
事態が判った佐官や尉官らが喧々諤々と話しはじめる。
「閣下、迎撃は如何為さいますか?」
そんな中、総参謀長のグライフスがエッシェンバッハに迎撃するべきかどうかを尋ねる。
グライフスも先ほど会議で話は聞いていたが、その効果がどの程度なのかが半信半疑であった事と、事情を知らない将兵にエッシェンバッハの考えを聞かせるが故に質問をしたのである。この辺が昔から付き合いがあり阿吽の呼吸の女房役の面目躍如と言えた。
「グライフス、今現在の敵の位置ではどうやっても此方の攻撃が届かぬし、艦隊を派遣しようにも袋だたきに遭うのが目に見えている」
「しかし、このまま手をこまねいて居る事は無いかと思いますが」
会議に参加していなかった大佐が苦言を述べる。
「これを見よ」
エッシェンバッハは大佐を呵ることをせずに、大スクリーンにイゼルローン要塞の断面図を投影させた。
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