第四十二話 覚醒
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襲う。
シグマ「本来のお前に戻してやろう…。感じるだろう?封印された力を、圧倒的な力の奔流を…」
アクセル「…あ……う………」
頭部を掴まれた痛みはない。
彼を苛むのは、光によって、秘められた圧倒的な力が急激に解放されていくことによる苦痛。
否…苦痛と呼べるかどうかも怪しい。
全身を駆け巡る力が、高揚感を与える。
全身が疼き、突き抜けるような気持ちになると同時に封じられていたもう1人の自分が目覚めようとしている。
アクセル「が…ああ……」
内なる自分が目覚めようとしている。
冷酷で残虐な人格が。
自身が忌み嫌う“イレギュラー”が目覚めようとしている。
『やっとだ…』
アクセル「(誰…?)」
頭に響いてきた声にアクセルが反応する。
『誰だって…?おかしなことを言うね…僕は…君だよ。ようやく“異物”の君から僕を取り戻すことが出来る…』
アクセル「(止めろ…止めて…)」
『元々君は最初から不要だった。よくも今まで異物の癖に僕の身体を使ってくれたね…とっとと消えなよ』
電子頭脳に響く声に反応するかのように視界が一気にぼやけていく。
すると力の奔流が急速に力を増していく。
シグマ「目覚めるがいい、アクセル…」
アクセル「嫌だ…」
“自分”が消えていく。
エックス達との記憶が消えていく。
レッドアラートとの記憶が引く波のように消えていき、レッドの頼もしい笑顔が消えていく。
脳裏に走馬灯のような映像。
血に塗れた陰惨な記憶。
口汚く罵る科学者。
施設を脱走する自分。
もっと昔、カプセルに収められ、悪しき科学者の呪詛の如き野望を語られる自分。
おもむろに開いた瞳は血を思わせるような色をしていた。
自分が消え、別の自分になる。
2人を殺すために生まれた自分に。
アクセルの意識が途切れた。
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