妖精亭-フェアリーズハウス- part1/王女への謁見
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ちの脅威にさらされているはず。神は彼らと戦って平和を取り戻すために私にこの力を与えたに違いありません。私は魔法学院において魔法の才がなく『ゼロ』と蔑まれ続けてきました。そんな私でも、姫様の役に立って見せたいと強く願っておりました。それでもダメというのなら…私は貴族の名も杖も姫様に返上し、一生『ゼロ』のまま生きることになるでしょう」
「…」
アンリエッタは考え込んだ。ルイズは一度決めたらそれを曲げることを決してしない。自分の知るかぎり彼女はそういう頑固者だった。
だが、実際ルイズの手に入れた虚無の力は、この国を怪獣の脅威から守るためにも必要なものでもあった。友人を利用しようとしている醜い貴族…それがまさに自分ではないか?たとえルイズが自分に力を貸してくれることを望んでいたとしても、自分が女王として民たちの未来を担っている身だ。ならば…。
「…あなたは昔でもそうだったわね。夜のラグドリアンの湖畔で、ベッドを抜け出した私の身代わりにベッドに入って…」
「姫様…」
忠誠心と身分を超えた女同士の友情を確かめ合うように二人は抱き合った。
「わかりましたわ。ルイズ…民の命と未来のために、あなたの力を貸してください」
「仰せのままに。この力、姫様のために」
「ならば、この祈祷書と水のルビーをあなたに託しましょう。しかし、約束して頂戴。さっきも言ったけど、あなたが虚無の担い手であることは決して口外しないで。そして、みだりに使ってはなりません。サイトさんとハルナさんが異世界人であることも公のものとしてはいけません。よからぬ陰謀を抱く者に利用されるかもしれませんから」
「はい」
「サイトさんとハルナさんも、今私が言ったことを守ってくださいね」
「は、はい!」「はい」
以前アンリエッタに自分が地球人であることを明かしたのを思い出し、ちょっと軽率だったかなとサイトは反省した。シュウにも言っておこう。いくら森の中に隠れ住んでいるからって、自分たちの正体について厄介なことになったらことだ。
アンリエッタは羽ペンを取り、せっせと用紙に書き記し始める。最後に花押を押し、その書を丸めてひもで止め、ルイズに手渡した。
「この許可証を受け取ってください。これであなたは私直属の女官ということにいたします。王宮を含む国内外へのあらゆる場所への通行と公的機関の使用を、私の名のもとに許可いたします」
「ありがとうございます。姫様。全力を尽くします」
恭しくルイズから礼を言われたアンリエッタは、続いてサイトの方へと向く。
「サイトさん。あなたは長年怪獣の脅威にさらされ続けた異世界…『地球』という世界から来た…そうでしたわね?」
「あ、はい」
改めて、以前サイトが自ら異世界の人間であることを明かした時のことが真実か、サイトに再び問うことで確かめたかったのだろうか。サイト
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