妖精亭-フェアリーズハウス- part1/王女への謁見
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呟く。
「え?」
「実は、この白紙の本の名は『始祖の祈祷書』。我がトリステイン王家に伝わる秘宝の一つとされています。本来はゲルマニア皇帝との婚姻が成立した場合、あなたに巫女として詔を述べてもらうために用意したものだったのよ」
「わ、私を巫女にですか!?」
ルイズは仰天する。サイトとハルナは逆によくわからないと言いたげに首をかしげていた。
「この古書は本物の祈祷書のまがい物…つまり偽物だと思ってました。何せ私が見たときも白紙でしたから」
300ページほどの古書をペラペラめくりながら、アンリエッタは言った。いくらめくっても真っ白な古書。彼女が始祖の祈祷書という大層な名前を付けられたその古書は『伝説』を騙る昔の詐欺師が適当に作った偽物の一つではないかと思われ、本人もてっきりそう思っていたのだという。たちの悪いことに、各国の寺院の司祭や貴族、王室などが自国にある『始祖の祈祷書』と名付けたものを本物と主張している。いつしか図書館さえもできるほどのレプリカが刊行されハルケギニア中に広がってしまったのだ。
とはいえ、その際どうでもよかった。アンリエッタとゲルマニア皇帝との間に行われるはずだった結婚式の詔を読むためなら、結果として偽物だろうとなんだろうと構わなかったのだ。どうせ本物を探したところで、『本物』と呼ばれている偽物が山のように発見されるだけだからだ。
「詔ってなんだ?」
サイトがふと疑問を口にすると、デルフがさやから顔を出して説明してくれた。
「結婚式の際に詩を詠むのさ。もちろん、めでたい二人を祝うためのな」
「ルイズが詩を…ねぇ…」
ルイズが詩を考えている時の様子を想像し、サイトは怪訝な顔をした。あのルイズが座学トップなのは知っているが、それが詩の才能と繋がっているとは到底思い難い。無理に難しい言葉を考えたり、詩とは全く関係のない文を考えたり、何も考えられずベッドの上でウーウー唸りながらダラダラするだけだろう。
「サイト…あんた今何を考えていたのかしらね?」
サイトの考えを察知したのか、ルイズがギロッと彼を睨みつけると、サイトはナ、何デモアリマセンヨと片言で返した。
「ルイズ、知ってるかしら?始祖ブリミルはかつて、世界を破滅に導く悪鬼と戦い、荒廃したハルケギニアを蘇らせるために三人の子供と一人の弟子に王家を作らせ、それぞれに指輪と秘宝と遺したそうよ。この水のルビーと、正真正銘本物のこの始祖の祈祷書がそうよ」
「え、ええ…」
世界を破滅に導く悪鬼?それを聞いたとき、サイトとハルナの脳裏に、数年前の記憶がよみがえる。それは、ウルトラマンメビウスが地球防衛の任に就いていた頃最後に戦った最強の宇宙人『暗黒大皇帝エンペラ星人』の姿を思い出す。思い出すだけで恐怖で鳥肌を立たされた。地球の空に暗黒の雲を漂わせ、太陽を全面黒点の身に塗り替えて地
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