妖精亭-フェアリーズハウス- part1/王女への謁見
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だし理解もしたくなかった。
「じゃあ俺にただ働きしろと?冗談じゃない。お前もあの村の状況を見たはずだ。親に見捨てられたり、戦争で親を失った孤児を養うには金がどうしてもいる。だが平民が一生分働いた金は貴族の小遣いよりも遥かに低いのが大概だろう?だったらそれなりの額の金がなくては、あの子たちは将来働くことさえもできないまま路頭に迷うぞ」
「…」
アニエスはシュウの言い分を聞くと、剣の柄から手を放した。意外に見えたのか、隣に立つミシェルは隊長である彼女の行動に目を丸くし、自分も剣から手を放した。
「捨てられた平民の子らのために…ですか。それなら私も納得できますわ。わかりました。困っている民を救うのは王族の務め、それに私はあなたにお願いしている身です。相応の対価は必要です」
アンリエッタはシュウが金を要求してきた理由が自分のためでなく誰かのためであることを知ると、納得して給金の約束をしてくれた。不躾な願いでも、必要とあらば承諾してくれる。王女ながら懐の深い人物だ。
「姫様が仰るなら……あんた!」
忠誠の対象が納得してしまうとルイズは何も言えなくなるが、矛先をシュウに向けて怒鳴り出す。
「姫様があんたみたいな無礼な平民のお願いを聞いてくれたのよ!感謝することね」
「ああ、そうだな。姫、私の願いを聞き入れてくれて感謝します」
感謝はしている、と言葉で語っていたものの、淡々とした態度のシュウにルイズは不機嫌になる。こいつ、本当に感謝しているのか?と疑わされた。思えば、こいつはこれといって表情一つ変えてこない。
「なんか、すごい人だね…」
「あ、はは…」
相手が異世界とはいえ王女なのだ。ルイズはまだしもアンリエッタを相手に給金を求めてきたシュウを見て、ハルナは苦笑いを浮かべた。サイトもそれにつられて苦笑し始めた。
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