絶剣 対 影の剣士
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ろに下がった。
ユウキの放った袈裟斬りが跳ね上げた剣とぶつかり、衝撃が手に響く。その瞬間に前に向かって払うことで袈裟斬りをかわす。
その際に放った突きは中途半端過ぎて軽くユウキに回避され、そのまま剣を腰溜めに構えたユウキが追撃を放ってきた。
先程のユウキの攻撃、俺が受け流すことを見越して全く力を入れてなかったのだろう。フェイントのために攻撃に力を入れないということは俺もするが、ユウキのはさらに入れていなかった。もし、弾かれれば完全に死に体を晒すことになっただろうに。まさか、こんな賭けに近い方法でくるとは……。
俺の戦術が逆手に取られた。俺がまだまだであると実感する。
体勢的にかわすことも弾くこともままならないだろう。できなくはないが次でチェックメイト。ならばいっそ。
「これは……」
俺の首筋に添えられたユウキの剣。少しでも押し込めば即座に切断されそうな位置にある。
「……引き分け……だね」
対してユウキの胸部の下方。ちょうど心臓に当たる位置に切っ先が向けられた俺の剣。これもギリギリで静止していた。俺の悪あがきだ。
「いや、俺の負けだろう。鎧があれば俺がユウキに致命傷を与える前に俺の首は飛んでる」
なんとか引き分けに見えるような状態に持っていっただけである。
剣の腕では勝てんな。
「いや……でも……」
「安心しろ。すぐに越えてやるからな」
軽く口角を上げてやると、ユウキは釣られて困ったような表情から好戦的な表情になった。
「……負けないよ!」
ユウキは扱い易くて助かる。シノンだったら簡単に看破されてぐずりそうだし。
ユウキの説得(?)に成功し、改めて周りを見回すと散々な有様だった。無駄に振った剣閃から出た風圧や、ぶつかり合った時の衝撃波が凄まじかったらしく、地面はえぐれ、あれだけいた見物人たちは半数ほど地面に転がっていた。ちなみに耐えられたのは戦闘に携わっている連中らしい。
「武器の使い心地はどうだ?」
目的が途中からズレていたが、本来の目的はそちらである。
そう言うとユウキは確かめるように二、三度武器を振った。
「うん、違和感はほとんどないよ。ちょっとあったはあったんだけど、リンとの戦いで消えたから」
「なら問題ないか。明日は休みにして明後日出るか」
「そうだね!」
一ヶ月の間、世話になったこの村を離れる時が来た。
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