絶剣 対 影の剣士
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げた剣をそのまま強引に振り降ろした。
「くっ!?」
ユウキはそれを見て剣を横に振った勢いを利用して横に跳ぶ。急なことで完全に体勢が崩れており、立て直そうと手を付いた。
そこを狙う。
若干痛む手首を無視し、伸びきっていた剣を引き戻しながら中腰のユウキを攻め立てる。
この状態で剣以外の武器を使えば確実に仕留められるだろう。だが、俺には使う気にはなれなかった。ユウキは成長している。そのユウキと戦うのが途方もなく楽しいのだ。
「ッ!」
二刀流ならではの素早い連続攻撃。ユウキはその不安定な体勢から回避してみせた。
一撃目、左の剣による突きは上体を逸らしたユウキに回避される。二撃目の右の剣による袈裟斬りは横に転がったことによって狙いが外れ、三撃目の足による震脚はユウキが仰向けの状態からの後ろに下がりながら跳び起きたため回避された。
続く数撃に渡る斬撃も剣によって捌かれ、最終的に最初と同じ距離を空けて睨み合うことになる。
「……リンは剣以外使わないの?鋼糸とか、暗器とか」
「何故そんなことを聞く?」
「だってリンがそれを使ってたらボクはもう負けてただろうし……」
自己鑑定がしっかりとできているようだ。拳など、まだわかりやすいフェイントなどは対応できるようになっているが、鋼糸や暗器など、不意打ちやトリッキーな使用に特化した武器に対しての
自分の弱さを自覚している。だからこそ疑問だったのだろう。戦闘(殺しあい)で勝利を得ることに手段を選ばない俺が使わなかったことが。
「まあ、なんだ。ユウキとは純粋に剣での戦いがしてみたかっただけだな」
そう言うとユウキは一瞬ポカンとした後、満面の笑顔になった。
「そうなんだ! まあ、リンに使われたらボクはすぐにやられちゃうしねー。うん! 嬉しいよ、リン。こんなに楽しい戦い、すぐに終わらせるのはもったいないしね!」
そして口には好戦的な笑みを浮かべたまま腰を落とし、剣を構えた。
「でも、戦いでは勝てなくても剣ではリンにも負けないよ。だからこの勝負、ボクが貰う!」
そう叫んでユウキは走り出す。最初とは違い、全力疾走ではなく、こちらの様子を見ながら走っている。
経験はユウキに負けるとは思わないが、確かな才能に裏打ちされた剣では一歩譲るだろう。
だから、自分が挑戦者だと思え。
こちらからも動く。距離がゼロになったとき、ユウキが斜め下から斜め上へ振った剣を流す。そして逆の剣を突き込もうとした時、ユウキが笑っていることに気づく。
まて、なぜユウキは斜め下からというわざわざ威力の下がる振り方をしたんだ?
その直後強烈な悪寒が背筋を走る。
背筋に走る警告に従い、肩に担ぐように構えていた剣を肩で跳ね上げながら後
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