絶剣 対 影の剣士
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距離を取って向かい合う。
「誘ったことはあったよ?それで、その時リンが言った言葉、覚えてる?」
「'ユウキの剣は素直過ぎる'……だったか」
俺の剣はある意味邪剣。絡め手、不意打ちありありの、とても綺麗とは言えない剣だ。つまり、相手を殺すためだけの剣。他のSAO生還者たちも似たような剣を使うが、俺のはさらにそれに特化している。
対するユウキは決まった型はないものの、ユウキ自身の桁外れた戦闘センスと身体能力の高さ。そこから磨かれた剣技。剣士としては間違いなく一流。しかし、戦士としては素人に近い。故に絡め手を使う俺との相性は最悪と言っていいのだ。
「うん。確かに、ボクは駆け引きとかあんまりよくわからなかったよ。……あの時は」
ユウキが剣を正眼に構え、腰を落とす。普段の陽気さは消え、真剣な空気を身に纏った。
「……リンの隣に立つために努力してるのはしののんだけじゃない。ボクだって前に進んでる」
「なるほど……なら証明してくれるんだろう?」
そのユウキから目線を外さず、いつもの構えを取る。
騒がしかった周りの村人はぶつかり合う闘気を感じてか、今は物音一つ立てず静まりかえっていた。
「もちろんだよ。そして必ず勝つ!」
そう叫んでユウキは地面を蹴った。踏み込んだ地面がえぐれるほどの力を込めて一気に加速したユウキは俺の懐目掛けて走ってくる。
「……せっかちだな」
ユウキの加速を見て、こちらから走りよるという選択肢を瞬時に放棄。
左手の剣を横に寝かせ、肩に担いでいた右手の剣を振るために右肩を少し下にさげた。
「せやぁ!!」
ユウキは走ってきた勢いそのままに、思い切りよく袈裟斬りを放ってきた。
これが訓練だというのにユウキは剣を全く止める気はない。その理由は目的を忘れたが故か、これくらいなら受けられるという俺への信頼か。まあ、十中八九後者だろうな。
リンなら避けられると思った!
なるほど、ユウキなら笑顔で言いそうなことだ。
それを証拠に、斜め下に受け流しても体勢が崩れていない。それどころか、剣を握っていない方の手を固く握って追撃を放ってきた。
後ろに自ら跳んで衝撃を逃がし、ダメージを最小限に抑える。前方ではユウキが殴ったままの体勢で首を傾げていた。
「……感触が弱い?」
「自分で跳んだからな。拳は見事だったが……それよりも不意打ちは酷いと思うぞ?」
「そうでもしないとリンの不意を打てないでしょ?」
てへっ、と舌を出すユウキに悪びれる様子はない。
「ちなみに拳はアスナに習ったんだよ?」
アスナお得意の鉄拳正妻か。確かに言われてみれば似たような技に見える。
「まあ、それは置いておいて……今度はこちらから行くぞ」
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