第12話〜翡翠の公都〜
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F社製の新型装甲車。火力のスペックこそ主砲持ちの戦車には劣るけど、その機動力で
戦場をかき乱す陽動などに適した戦闘車両だな」
「へぇ、詳しいんだな」
感心したようにそう言ったリィンに、ケインは苦笑しながらそうでもないよと返す。
特に臨戦態勢というわけでもなく、街道の用事は済んでいるので、彼らも宝飾店へと引き返した。宝飾店に再び入ると、ブルックさん、旅行者の両方がなにやら気落ちした表情をしている。様子がおかしいと感じたケインが声をかけるが、ブルックさんはとりあえず半貴石を貰えないかとやんわり催促してきたので、少々不思議に思ったがそれを手渡した。
「おい店員、何をしている!品が手に入ったのならさっさとよこさんか」
「は、はい・・・ただちに・・・」
ブルックが依頼の品を受け取ると、後ろから苛立ち交じりの傲慢な声がした。全員、状況が飲み込めずにいる。いったいこれはどうゆうことなのか。振り返った一同が見たのは、貴族らしき初老男性だった。どれだけ待たせるんだとでも言いたげな顔をしており、ブルックがドリアード・ティアを渡すや否や貴族男性は、それを口に入れて咀嚼し始める。あっという間に咀嚼を終え、側仕えと思われるメイドから貰った水を飲んでいた。
(何てこと、してくれるのよ・・・)
「・・・っ・・・・・・き、きさま・・・!今自分が何を!」
感情的になったマキアスが声を荒げて抗議を申したてようとしたが、それは失言だった。
今の言葉を聞いた男性が、マキアスに目をつける。
「・・・おい、平民。今このわしに向かって“貴様”と言ったか?」
「そ、それは・・・(しまった・・・貴族相手に僕は何を)」
「まあ、これしきのことで事を起こすわしではないが。くれぐれも言動には慎むことだな。わしが本気をだせば貴様なんぞの首の一つや二つ・・・」
「やれやれ、言動を慎むべきのはそちらの方ではないか・・・?」
「ああ?・・・って、あなたはユーシス様ぁああっ!?」
失言をしたマキアスに助け舟を出すかのようにユーシスが口を開いた。わしに口を挟むのはどこの誰だとでも思ったのだろうが、それがアルバレア公爵のご子息だとは予想できなかったのだろう。先ほどとの傲慢な態度とは打って変わり、狼狽した様子でどうしてこんなところにいらっしゃるのかと尋ねる貴族だが、あなたには関係のないことだとバッサリ切るユーシス。そしてドリアード・ティアをどういう了見で己が腹に収めたのかを問い詰め始めた。その貴族が言うには、石は旅行者ベントとの正当な取引で手に入れたものだそうだ。彼は、それを渡す代わりにミラを貰ったらしい。
「でも、どうして口の中に・・・」
「それは、ドリアード・ティアが東方では漢方薬として利用されているからです。
主な効果
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