第12話〜翡翠の公都〜
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にて開催された鷹狩りを一緒に行い、狩りの作法や心構えを一通り教わったらしい。
「もう10年前になるか・・・今も壮健でいらっしゃるのか?」
「はは・・・はい。相変わらずの狩り道楽ですが」
「フフ、それは重畳」
昔を懐かしむように語るルーファスがリィンの父を気にかけていることを考えると、よくできた人なのだろう。彼は続いて、マキアスへと顔を移し、いたって穏やかな口調で話しかける。貴族制度を好しとする彼は、マキアスの父であり、革新派の有力人物たるカール・レーグニッツ帝都知事の事を快く思ってはいないはずだ。当然、その息子も然りだろう。マキアスの隣に座るケインは、そうした疑いからルーファスに密かに睨みを利かせていた。
「彼とは最近、帝都の公式行事などで何度か顔を合わせていてね。立場の違いはあるが・・・色々と助言をしてもらっている。これも何かの縁だろう。今後とも弟をよろしく頼むよ」
「そ、それは・・・その、前向きに検討させていただきます」
「フフ、結構」
マキアスとのやり取りを終えた彼はケインの方に向き直り、未だに睨みを利かせる彼に苦笑しつつも、穏やかな調子を崩さずに話しかける。
「風の噂で聞いたのだが、君は失踪したそうだね」
「・・・さすがに、ご存知ですか」
「まあ、警戒されても仕方の無い事だがね」
「・・・すみません。俺ももう少し大人になれればいいんですけど。
ルーファスさんがそういう人じゃないのは、その、分かっているんですよ」
自嘲気味に肩をすぼめるケインに、ルーファスは「その答えが聞けただけで今は結構」と気遣いの言葉をくれる。他のメンバーは、彼らの一連のやり取りに終始疑問符を浮かべているようだが、今のケインにその疑問を解消させることはできなかった。重くなる空気を身に感じつつも、一同の宿泊場所たるホテルで降ろしてもらい、父の名代で帝都に赴くと言うルーファスにお礼を述べ、別れた。本来なら宿泊場所はユーシスの実家でもある公爵家城館のはずだが、彼が実習に集中できるようにとルーファスは配慮したのだろう。
「・・・ルーファス・アルバレア。
貴族派きっての貴公子という噂は耳にしたことがあったが・・・」
「何というか・・・すごく出来た方みたいですね」
「そうだな。羨ましいくらいだよ・・・」
「ケインは十分できてるのに羨ましいの?」
至極当然の疑問といった風に小首を傾げるながらそう言うファミィに感謝しつつ、彼女の頭を撫でる。そのことでマキアスやリィン、さらにはユーシスからのジト目を一身に受けたケインは「俺の顔に何かついてるのか?」と訊くが、誰も黙して語らずだ。
「・・・フン、すぐにチェックインして実習の課題を始めるとしよう」
「そ、そうだな・・・」
「と
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