祈る者
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これ以上誰かを死なせるわけにはいかないからな」
「なら、私も・・・」
シノンも着いていこうとするがシオンは無言で彼女を止める。
「いや、シノンはここにいてくれ。この砂漠エリアはお前のようなスナイパーには愛称が悪い。リスクは俺の比じゃないぞ」
「死んでも、構わない」
「何ッ?」
「私、さっき、凄く怖かった。死ぬのが恐ろしかった。五年前の私よりも弱くなって・・・情けなく、こんなんじゃダメなの。そんな私のまま行き続けるくらいなら、死んだほうがいい」
「お前、それ本気で言ってるのか?」
シオンの言葉にシノンは俯いたまま答える。
「嫌なの、怖いのは。もう怯えて生きるのは・・・疲れた。別に、あなたに付き合ってくれなんて言わない。一人でも戦えるから」
「一人で死ぬつもりか?」
「そう。それが、私の運命だったんだ・・・」
彼女は求めていたのかもしれない、自分を罰してくれる存在を。その罪を咎めてくれる存在を───
しかし、それを“死”というもので償おうとしている彼女を許さない存在がいた。
「待てよ」
「離して、私はもう・・・」
シノンが言いかけた次の瞬間、シオンは勢いよく彼女を壁に叩きつけた。
「ガハッ!何、するのよッ・・・!?」
「それはこっちの台詞だ。一人で行って、一人で死ぬ?ふざけたこと言ってんじゃねーよ!!」
シオンはシノンのマフラーを掴んだまま離さない、むしろより力がこもる。
「一人でも戦えるとか言ってる奴がさっきからガタガタ震えてんじゃねぇ!!そんな戯言は一人前になってから言いやがれ!!」
「ッ!なら・・・!」
今度はシノンがシオンの胸ぐらを掴み、叫んだ。
「なら、あなたが私を一生守ってよ!!」
叫びと同時に涙が溢れる、シオンに全てをぶつける。
「何も知らないくせに・・・何もできないくせに、勝手なこと言わないで!!これは、私の、私だけの戦いなのよ!たとえ負けて死んでも、誰にも私を責める権利なんかない!!それとも、、あなたが一緒に背負ってくれるの!?この・・・この、ひ、人殺しの手を・・・」
シノンは叩きつけていた拳を震えながら見つめる。
かつて血で汚したその手を───
「あなたが握ってくれるの!?」
「・・・・・」
シオンは彼女の心の叫びをただひたすら聞いた。何度も打ち付けられる拳、耳を刺すような叫び、その瞳から溢れ出る涙。
彼はその全てを聞き、見届けた。
『やっぱり、こいつは・・・』
洞窟内は暫く彼女の泣き叫ぶ声が響き渡った───
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
あれからどのくらいたっただろうか・・・シ
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