祈る者
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カウンターの方から声がした。
「怒ってるな、アレ・・・」
「シュタイナー・・・!」
「シュタイナーさん、怒ってるってどういう?」
「ああ、アスナは見たことないのか。シオンがキレたこと」
シュタイナーは画面に映るシオンを見ながら言った。
「シオンが本気でキレたことは恐らく2回。“ハーモニクス”の時と、あとは・・・“バーデン”と対峙したときだろうね」
「バーデンって《殺人鬼》の?」
《殺人鬼バーデン》───
かつてSAO時代に突如出現した無差別殺人鬼の名である。
フィールドに現れては無差別にPKを繰り返し、すぐに姿を消してしまう。
ついたあだ名が《霧のバーデン》
笑う棺桶と並ぶ最重要危険人物としてブラックリストに載っていた。
「でも、あいつは死んだって・・・」
「そう、彼は殺された。シオンの手によってね・・・」
「エッ・・・!?」
「彼と対峙したのは、ラフコフの討伐任務があったときだ。最悪なことに彼はラフコフと手を組んでいてね、シオンは彼と剣を交えることとなった。その時だったよ、シオンが本気でキレたのは・・・」
「わたしも、シオンが本気で怒ったのはあの時初めて見た。エリーシャちゃんはあの場には居なかったけど・・・」
アスナは険しい顔でそう言った。
「でも、あの時何か話してた気がする・・・」
「僕もそれは見たよ。そして直後、シオンは我を忘れる勢いで怒りを露にした」
瞳は赤く染まり、黒い髪は白へと染まる。黒い雷を走らせ、バーデンに襲いかかった。
その姿はまさしく───
「獣のそれだったよ・・・」
「獣・・・」
「これは非公式だがシオンは“白の剣士”以外にも密かに別の名前で呼ばれていたんだ」
「それって・・・」
「“鬼神”、それがシオンのもう一つの名前だ・・・」
シュタイナーの言葉にその場にいたものは皆息を飲む。
エリーシャは再び画面に映るシオンを心配そうに見る。
『シオン、大丈夫だよね・・・?』
シオンとぼろマントの戦闘は終盤を迎え、シオンはぼろマント相手に近接戦で挑んだ。
「何あれッ・・・!」
「成る程。シオンの奴、アレを使ったか・・・」
「アレって?」
シュタイナーの意味深な言葉にリーファが反応する。
「以前、というかALOの時から教えていた体術だよ。ここ半年くらいね」
そう言っている間にぼろマントはその場から姿を消し、別の戦闘に切り替わった。
「あ、終わった・・・」
「どうやら今回は大きな進展は無かったようだね」
シュタイナーはカウンターから出てくるとウインドウを開いた。しばらく操作していると、シュタイナーの手がふと止まった。
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