暁 〜小説投稿サイト〜
美しき異形達
第二十七話 光の力その九
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「別にね」
「俺を倒すからか」
「そうよ、私が苦しむことはないわ」
 この闘いにおいて、というのだ。
「全くね」
「そう言うか、ではそうしてもらうぜ」
「いいわ、是非ね」
 鈴蘭はこう返してだ、そのうえで。
 今度は仕掛けなかった、中段の構えで怪人を見据えていた。そのうえで間合いを取っていた。その鈴蘭を見てだった。
 怪人も動きを止めた、両者は互いに睨み合いに入った。薊はそれを見てまた黒蘭に対して問うたのだった。
「こうした場合はあれだよな」
「ええ、先に動いた方がね」
 まさにとだ、黒蘭も答えた。
「負けるわ」
「動くその瞬間が一番隙が出来るからな」
「そうよ。ただね」
「ああ、隙はな」
「作ってはいけないわ」
 このことも言う黒蘭だった。
「そもそもね」
「そうだよな、けれどな」
 薊は黒蘭の言いたいことをすぐに察した、そして言うのだった。
「それはな」
「ええ、作ってはいけないものはね」
「作ることもな」
「勝負のうちよ」
 それもだというのだ。
「それは薊さんもわかっているわね」
「ああ、そうしたこともしてきたからな」
 だからわかっているとだ、薊も返事を返した。
「まあ駆け引きの一つだな」
「そういうことよ、ただそれはね」
「相手もだよな」
「ええ、わかっているわ」
 怪人の方もというのだ。
「相手もね」
「こっちがわかっていることはな
「相手もわかっているわ」
「勝負ってのはそうしたものだからな」
「そうなるわ、どちらが仕掛けるか」
「そうした勝負になってきたか」
「そう思うわ。ただ」
「ただ?」
「動かない、最初からね」
 こうも言った黒蘭だった。
「そうした方法もあるわ」
「動かない、かよ」
「見ていればわかるわ」
 それが、というのだ。
「姉さんをね」
「そうか、それじゃあな」
 薊も黒蘭の言葉に頷いた、そうして。
 二人で闘いを見守った、両者は動かない。しかし。
 鈴蘭の目が光った、そのうえでだった。
 持っている刀の刀身が光り、そこからだった。
 鈴蘭は動かなかった、だがその刃にだった。
 空から雷が落ちた、その雷が動かない刃からだった。
 雷が地面に落ちた、そうしてだった。
 その雷が地面から荒れ狂う様に出て来た、それも一つではなく。
 無数になってそうして地面から蛇の様に動いてだった、怪人を襲った。その雷達を見て。
 怪人は己に襲い掛かって来るそれから跳んでかわした、これは防御本能によるものだったが確かに動いた。
 そしてそこにだ、鈴蘭は。
 刀を一閃させた、思い切り突きを入れた。その突きからもだった。 
 雷が出た、今度は一直線に矢となった。そしてその雷がだった。
 跳んだ怪人の腹を直撃した、跳んだ瞬間で
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ