第二十七話 光の力その七
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「ネッシーにしろそうだけれどな」
「そうだな、あっちもな」
「雪男か、何時かこの目で観たいね」
薊は笑って言った。
「是非な」
「ほお、面白いことを言うな」
「冒険家っていうのにも憧れてるんだよ」
それで、というのだ。
「だから見付けてみたいっても思ってるんだよ」
「俺は今ここにいるぜ」
「あんたはあんただよ」
怪人だというのだ。
「それであたしはあたしだよ」
「そう言うんだな」
「そうさ、それじゃあいいな」
「御前等三人共俺が倒してやるからな」
「いい言葉だね、じゃあはじめるか」
薊はその右手に七節棍を出そうとした、しかしここで。
鈴蘭が前に出てだ、その薊を左手を横に出してすうっとした動作で制してそのうえで彼女に対して言った。
「待ってくれるかしら」
「鈴蘭ちゃんが闘うってんだな」
「そうしていいかしら」
「ああ、いいよ」
薊は鈴蘭にも微笑みを向けて答えた。
「それじゃあな」
「それではね」
こう話してだった、薊は前に出ることを止めてだった。
鈴蘭が怪人と対峙した、そうしてだった。
その左手に日本刀を出した、それを剣道の中段で構えてそのうえで怪人に対してあらためて言った。
「私でいいわね」
「三人共って言ったよな」
「だからなのね」
「順番なんてどうでもいいんだよ」
首を左右にゆうるりと動かしながらだ、怪人は鈴蘭に言葉を返した。
「倒すことに変わりはないからな」
「だからなのね」
「ああ、念仏は唱えたか?」
怪人は鈴蘭にこんなことも言った。
「何でも御前等は死ぬ前にそう言うんだったな」
「そうね、私も実家では一応ね」
鈴蘭も怪人に応えてこんなことを言った。
「法事には出ているわ」
「法事が何かは知らないけれどな」
怪人はそこまでは知らなかった。
「しかしな」
「それでもというのね」
「ああ、そういうものを口にするのは聞いている」
それで、というのだ。
「早く唱えろ」
「その必要はないわ」
あっさりと返した鈴蘭だった。
「私は死なないから」
「そう言うか」
「ええ、貴方は私が倒すわ」
はっきりとした断言だった。
「貴方の方こそ覚悟はいいわね」
「面白い、でははじめるか」
「今からね」
こう話してだ、そしてだった。
鈴蘭と薊は戦闘に入った、薊はその闘いを見つつそのうえで自分の隣に来ていた黒蘭に対して問うた。
「雪男ってどうして闘うんだろうな」
「おそらくだけれど」
黒蘭が言うには。
「あの身体を見ているとね」
「ああ、凄いガタイだな」
筋骨隆々の巨体だった、厚く長い毛だがそれでもわかる。
「あの腕とか脚でだな」
「闘うと思うわ」
「一撃が相当だな」
かなりの威力があるとだ、薊も言った
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