第一章
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第一章
提督の娘
ダスティ=ブレイク少尉は士官学校を出たばかりである。イギリス海軍、即ちロイヤル=ネービーの栄えある青年将校になって日も浅い。
豊かで輝く黄金色の髪に青い湖を思わせる瞳を持っておりその顔立ちは気品があり優雅ですらある。イギリス海軍の黒と金の軍服が実によく似合っている。
彼はその軍服にも海軍にも強い誇りを持っていた。そしていつもこう言っているのだった。
「殿下が御二人共陸軍を選ばれたのはな」
「嫌なのかい」
「嫌ではないさ」
同期の者達にそれはそうではないというのだった。
「嫌ではない。不満なんだよ」
「不満なのか」
「そうだよ。我が軍は先行軍なんだ」
イギリスにおいては最も上位とされている。その位置は陸軍や空軍よりも上とされているのである。その為に彼もまた自分の海軍将校の地位に誇りを持っているのである。
「その我が軍に入られないというのはだ」
「残念なんだな」
「そうだよ。全く」
少しばかり溜息すら出す。
「まあそんなことを言っても仕方ないけれどね」
「殿下達が選ばれれたことだしな」
「それは尊重するよ。まあ愚痴を言っても仕方ないか」
「そういうことさ。それで今夜だけれど」
話は夜のことに移った今は昼で二人は彼等が勤務している軍港で海と軍艦を見ながら話をしている。青い海には様々な軍艦が並んで休んでいる。海の青と軍艦の灰色がそこにある。
「君も参加するんだろう?」
「招待状は受け取っているよ」
こう答えるダスティだった。
「既にね」
「ノースガーデン中将閣下が主催か」
同期の彼は今度はその主催者のことも述べた。
「この艦隊司令の」
「まさか僕達まで呼んでくれるなんてね」
「それだけ期待しているってことかな」
同期はダスティの言葉に微笑んで返したのだった。
「やっぱり」
「ははは、だといいけれどね」
ダスティは同期の今の言葉に顔を少し崩して笑った。
「それだとね」
「人生はプラスに考えるべきだよ」
これがこの同期の人生哲学だった。
「さもないと損をするからね」
「損をかい」
「そうさ。マイナスに考えていくと暗くなるばかりだよ」
「それは確かにね」
「軍人として物事は真面目に事実を考えるべきだけれど」
これは軍人として当然のことだった。しかしそれでもこうした哲学を持って悪いということはなかった。むしろその方がいいというのである。
「だからさ。そう考えていくことにしよう」
「そうか。それじゃあ」
「今夜の為に服はしっかりと調えておいてな」
彼等のパーティーに出席する服は軍服である。これは軍人の特徴である。
そうした話をしながら昼はそれぞれの勤務にあたり夜を迎えた。その夜のパ
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