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オズのムシノスケ
第五幕その十一
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「しなかったです」
「余計に悪いね」
「余計にですか」
「生徒にそうしろというからにはね」
「自分もですか」
「まず自分が真っ先にしないと駄目だよ」
 教授は言います、これはカルロスだけでなく他の皆にも言うことでした。それもかなり強く言っている言葉でした。
「そんなことをしたら駄目だよ」
「人にそうしろというからには」
「自分もだよ」
 真っ先にすべきというのです。
「丸坊主にしないと」
「そういうものですね」
「その先生は間違ってるよ」
 教授ははっきりと言いました。
「そしてそんな先生とはね」
「どうすればいいんですか?」
「絶対に一緒になったらいけないよ」
「その先生がサッカー部の顧問だったら」
「絶対にその先生のいるクラブや部活には入らないことだよ」
「絶対にですか」
「その先生はよくない人だからね」
 だからだというのです。
「教わってもいいことはないから」
「サッカーをしていてもですか」
「何かをしていてもそれでいい人とは限らないからね」
 それ故にというのです。
「悪い人に教わったら駄目なんだ」
「どんなに自分が好きなことをしていても」
「そう、サッカーでも他の場所でも出来るからね」
「そうなんですね」
「そんな人に教わっても絶対にいいことはないよ」
「人には負けたら丸坊主にしろと言っても自分はしない人は」
「教えている自分の責任はどうなるのかな」
 教授はこのことも指摘しました。
「それはないのかな」
「そういえば」
「そうだね、そうしたことを考えられないとね」
「駄目なんですね」
「そうした人はサッカーでも何でもそのスポーツを教える資格もする資格もないし」
 それに、というのです。
「先生をやる資格もね」
「ないですか」
「絶対にないよ」
 有り得ないといった口調でした。
「私だったらそうした先生は大学には入れないよ」
「そもそもオズの国にはね」
 ドロシーも言います。
「そうした人はいないから」
「そうなんですね」
「ノーム王と同じ位酷い人ね」
 そうした先生はというのです。
「本当にね」
「ノーム王とですか」
「そう思うわ」
 見ればドロシーは頬を膨らませています、そのうえでの言葉でした。
「私もね」
「ドロシーさんもですか」
「どうしてそういう人になるのかしら」
「ううん、それは」
 恵梨香も首を傾げさせています。
「そのことは」
「恵梨香もわからないの?」
「はい、やっぱり育ってきた環境でしょうか」
「自分はよくても、っていう環境でいたからなの」
「それで他人は駄目だとか」
「そんなことはおかしいと思うけれど」
 また言うドロシーでした。
「正座は長くしていたら辛いでしょ」
「はい、とても」

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