第二話 夢の舞台……
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トのままベンチに戻った。
電光掲示板には俺の真っ直ぐの球速は最速159km/hと表示されたようだが俺は打者に集中していた為、どのくらいの球速を出していたのかは試合後までわからなかった。
8回表も三者連続三振でしとめてベンチに戻るとマネージャーの大久保がタオルを渡してきた。汗を拭き終わるタイミングでスポーツドリンクも差し出してきた。本当に気が利く奴だ。
ここまでヒットも四死球もなし。エラーもないからあとアウト三つ取れれば完全試合の達成だ。
「無死一、二塁で東か……」
星秀の攻撃は四番の東に託された。
東は今日は敬遠2、左翼に本塁打を2本放っている。
キン___とかん高い打撃音が鳴り響くと白球は中堅の遥か頭上を越えて応援席も越え、場外へと消えていった。
推定150m越えの特大アーチが放たれた。
相手投手はがっくり肩を落としている。
点差は12点差に広がった。
もうほとんど決まりかけている試合だ。
赤石と俺は敬遠されて下位打順は抑えられて交代となったがまだ油断はできない。
「野球は9回二死からが本場……たら、ればを言ったら終わりだ」
そう自分に言い聞かせ最後の仕上げをする為にマウンドへ向かう。
「喜多村……楽しめよ」
東がそう言って守備位置の一塁に入っていったが一番楽しんでるのは東だと思った。
本当に楽しそうにプレイをしている。
変わったな。二年前の野球留学生だった時とは完全に別人だ。
そんな事を考えながらマウンドに立つと赤石が声をかけてきた。
「なあ……ここなんだよな?」
「はあ?」
「舞台は超満員の甲子園」
若葉が見た夢……。
「まだだろ?」
俺はそう言っていた。
「まだ、超満員じゃねぇよ……」
俺はアルプススタンドの方を見つめながら答えた。
「俺が投手でお前が捕手……舞台は超満員の甲子園!
超満員ってやっぱり……」
「そうだな……」
甲子園が完全な終着点ってわけじゃない。
俺の終着点は若葉が見た夢の舞台だ。
超満員になるにはやっぱり……。
「勝つぞ、赤石」
「勝とうぜ、コウ!」
『コウが投手で赤石君が捕手。
舞台は超満員の甲子園!
あっ、そうそう中西君もいたわ』
そう若葉が言っていたと青葉から最近聞いた言葉が俺の脳内で浮かんだ。
まるで今そこに、若葉がいるような感覚で……。
「さあ、後アウト三つだ!
しまって行こう!」
赤石の檄により俺達、星秀野球部員一同は気合いを入れた。
さあ
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