第二話 夢の舞台……
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葉(ワカちゃん)を亡くした悲しみの大きさも、楽しかった思い出も、どんなに意地を張ってもウソついても…
ずっと前から……
やっぱり嫌な奴だ。
世界中で一番___
嫌な奴だ。
電車は東京駅へと向かい。
新幹線に乗り換えた。
西へ、西へと移動して……。
夢の舞台がある町に辿り着いた。
それから俺は……。
宿舎に荷物を置くと、軽く練習をした。
その日の晩はよく眠れた。
夢の中に若葉と青葉、赤石や中西……それと東も出てきた。
翌朝目覚めるとなんの夢をみていたのかはよく覚えていなかった。
抽選会が始まると赤石キャプテンは抽選のくじ引きで初戦から強敵を引き当てた。
公式練習では…
星秀が誇る名投手コーチである青葉から新しい変化球の握りを教わったり、東の打撃投手を務めたりして軽く汗を流した。
一、二球、ムキになって思いっきり投げたがセンターまで飛ばされた。
宿舎での生活では特に問題はなく……理事長が訪ねてきて前勝会という名目で酒盛りを始めたのを見ていた……いつも通りに過ごした。ただ外に出ようとしたら、ファンの女の子に迫られたり、怒った青葉に追いかけ回されたりした。良くも悪くもいつも通りの……そんなつかの間の日常を過ごしていた。
甲子園大会が開幕し、今日、開幕一戦目が星秀学園の甲子園初試合だ。
相手は甲子園常連校、VL学院。
高校通算60本塁打を誇る強打者。
松尾大介率いる名門校だ。
先攻は相手側。
相手は初出場の俺達を完全に見下していた。
レギュラー陣が3人しか先発メンバーに入っていなかった。
舐められている。
試合前に東がこう言った。
「叩き潰すぞ!
完封しろ!」
「プレイボール!」
審判の試合の開始を知らせる掛け声が響くと俺は夢の舞台のマウンドから相棒の赤石のミットに向けて甲子園第一球目を投げた。
「ス、ストライク!」
一球目を投げた直後、応援席は騒然とした。
第一球目の速度が表示されたが球速は157km/hと表示されたからだ。
コースも厳しい外角低めいっぱいに決まりまさに打てない理想の直球を投げてしまった。
で……現在。
8回表。VL学院の攻撃。
スコアボードには9点差がついていた。
7回までにVL学院が打ったヒットは0。
この日、俺は絶好調でヒットはおろか、四死球一つもなく8回もマウンドに登った。
焦った相手側は7回からメンバーをベストメンバーに替えたが遅かった。
俺の真っ直ぐを打てる奴は一人もいなかった。
松尾はファールで粘ったが俺の真っ直ぐに空振りし、ノーヒッ
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