敵対者の契約者
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UP(杯)』のペルソナを降魔されるには力量が足りませんな。ですが、貴方に知恵を与えんとする『ROD(杖)』を用いるにはぎりぎりですが、問題ないようです。
早速、召喚されますかな?」
「ああ、頼む」
「では、失礼しまして」
イゴールが『ROD(杖)』をもち携帯電話を取り出し、いずこかへとかける。同時にナナシのピアノ、ペラドンナの歌声が変わりる。何かが奥底から出てくるような感覚がした後、光と共に何かが現れる。
『儂は釈契此 どんなものでも何らかの役に立つものじゃ』
『もらえるものはもらっておくが良かろう』
『我が写し身よ 主の旅路に無駄などないと知れ』
袋を背負った太鼓腹のペルソナはそう言うと、透真の中に溶けこむように消えた。
「『ROD(杖)』ペルソナの『ホテイ』に御座います。有効に使われますよう。こちらはお返しします」
色を失った杖のカード、及び残りの3枚も渡される。
「ああ、ありがとう。有効に使わせてもらう。…一つ聞いていいか?」
戸惑いながらも礼を言い、少し迷った後口を開く透真。
「ええ、構いませんよ。なんでございましょう?」
「なんでここまでしてくれるんだ?俺は貴方方の敵対者の契約者だぞ。害になるとは思わないのか?主の意に反するとは思わないのか?」
「確かに貴方はかの敵対者の契約者だ。しかし、貴方は自由意思を奪われたわけではなく、彼の者の力を得たわけでもない。そして、何よりフィレモン様ご自身から、貴方の新たな心、新たなペルソナの目覚めをお助けするよう、仰せつかっております。
それに私個人としても、貴方の旅路がどういう結末を辿るのか楽しみでもあります」
「そうか、本当に人がいいんだな、あの人は……。ありがたく甘えさせてもらうわ。まあ、精々期待にそうように頑張らせてもらうわ」
「ええ、それでよろしいかと。おっと、それからこれをお持ちください」
イゴールは懐から漆黒の鍵を取り出し、透真に手渡した。
「これは?」
「『契約者の鍵』ならぬ、『愚者の鍵』といったところでしょうか。それを鍵のある扉に使えばここへ来ることができます。
では、そろそろお別れのようですな。現実の貴方を待っている方もいるようですし、急ぎ戻られたほうがよろしいいでしょう。
旅路の一寸先は闇。なれどその先には未知があり、である以上闇の中に一歩を踏み出せるのも愚者の特権でしょう。貴方の旅路がよきものにならんことを願っています。
では、また会う日まで、御機嫌よう」
最後の言葉と共に、再び透真は意識を失った。
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