散る群青 願う彼女 立ち上がる少女
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だが、2人の会話からはその緊張感は全くと言っていいほど伝わって来ない。これは別に緊張感を紛らわせようとしている訳ではなく、素だ。特に考えず、ギルドで会話するのと同じような感覚でしかない。
「あなた達…随分と余裕ね」
「ま、事実余裕だし仕方ないんじゃない?余裕なのにそれ隠せって…私はともかく、どっかの誰かみたいな頭すっからかんに出来る訳ないし」
「んだとテメエ!誰の頭がすっからかんだって!?」
「別にアンタとは言ってないわよ?怒るって事は思い当たる節があるんでしょうけど」
「ぐっ…」
ひょい、と軽い調子で肩を竦めたティアにナツが噛みつく。
白い帽子の奥から覗く青い瞳が笑うように少し細くなり、すぐに引き締めるように鋭くなった。
「けど、この余裕も大して長くは続かないでしょうね」
「は?」
「まだあの女は本気なんて出してない…ってか、アンタと組んだだけでここまで追い詰められるなら私1人でも結果は変わらないし、もっと前に力尽くで抑えてる。となると、まあまだ半分くらいってトコね」
「んな!?」
「何驚いてるの?最初から本気出すようなバカはアンタくらいよバーカ。アイツだって、最低1つは奥の手を残してるし」
「バカっつったなお前!しかも2回も!つか奥の手って何だよ!」
怒っているんだか驚いているんだか解らないナツの言葉に、ティアは“何を言ってるんだコイツは”と言いたげに目を向け、ジロリと睨むように見つめる。
その目に怯む者も多いが、伊達に7年の付き合いではない。この程度の目で怯んでいてはまともに会話する事だって出来ないのだ。会話1回の内に3回は向けられるであろう目には、当然慣れている。特に言い合いの多いナツに関しては、これ以上の睨みだってもう慣れっこだ。
「滅竜魔法の奥の手って言ったら1つしかないでしょうが。奥義よ、奥義」
「……あー」
「……滅竜魔導士の反応とは思えないわね」
呆れたようにティアは溜息をつく。
“まあコイツだから仕方ないか…”なんて呟きはあえて無視して、ナツは拳を握りしめつつ訊ねた。
「で、アイツの奥義って何だよ」
「多分私が使ったのと同じ。だとしたら攻撃範囲も威力も大体は解るし、何とかなるとは思う。ま、術者が違うから全く同じ…とは言い切れないだろうけど」
「お前が使った奥義って何だっけ」
「1度アンタの頭の中見てみたいわ。グランドクロスよ、ニルヴァーナでアシストしてやったでしょ」
「……そういやそんな事もあったな!」
「帰ったら1発蹴り飛ばす」
「何で!?」
ボソッと呟かれた物騒な言葉に大きく反応しつつ、前を見据える。
と、1つ気になる事が生じ、戦闘態勢を取るティアに声を掛けた。
「なあ、その何ちゃらかんちゃらって奥義、どうにか出来んの
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