散る群青 願う彼女 立ち上がる少女
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に聞いたんですけど、あの塔の扉はシグリットさんって人にしか開けられないって言ってたんです。だから何でかなって」
その言葉に、ハッとしたように塔から出てきた4人は顔を見合わせた。無理矢理上半身を起こしたクロスを慌ててサルディアが支える。
はくりと口を開いたクロスだったが、すぐに何かに気づいたように口を閉じた。その様子を不思議そうに見つめるウェンディ達に目を向けたクロスは、大きく目を見開く。
「命刀を使ったか…あれは使うなと言ったじゃろう」
「……マスター…」
静かにこちらへと歩いて来るのは、彼等の親。
血塗れの欲望の件を報告する為に評議院に行った、マスターマカロフ。
その登場に驚くと同時に安堵するメンバーを見回したマカロフは、しっかりと頷く。
「評議院には報告した、間もなく強行検束部隊がここに来る。クロ坊、お前の部下が怒っておったぞい。“人に書類押し付けて何やってんですかあの隊長は!”とな」
「押し付けたなんて人聞き悪ィなマカロフの旦那。”頼んだぞ”って渡して来ただけだって。相手の返事は聞いてないけど」
それは押し付けたって言うんだよ!と密かに全員がツッコんだのは言うまでもない。
呆れたように溜息をついたマカロフは、何かを言いかけて止まったクロスに目を向けた。クロスは少し迷うように目を逸らしたが、やがて意を決したように口を開く。
「マスター」
「俺達は、大きな勘違いをしていたようだ」
「はあっ!」
「くっ」
一気に距離を詰めたティアの鋭い蹴りがシャロンの顎を蹴り上げる。日頃からナツを蹴り飛ばし続けるその右足の威力は伊達ではない。ワンピースだろうとお構いなしに上げられた足に乗せられたパワーの全てを遠慮なんてなしに叩きつける。
フラフラと後ずさり頭を数回横に振ったシャロンはお返しと言わんばかりに光を纏った拳を放つが、それは狙いのティアに届く前にナツの拳が受け止めた。
「ティアばっか狙って、オレの事忘れてんじゃねえだろうな!お前の相手はオレ達だ!」
「お前に用はない!私はあの小娘を消す!」
「させっかよ!火竜の鉤爪!」
「あぐっ!」
シャロンの右拳を左拳で受け止めたまま、ナツはガラ空きの横腹を勢いよく蹴りつける。バランスを崩した隙を見て距離を取ったナツが目を向けると、帽子を深く被り直したティアと目が合った。
「キリがねえな」
「あの女の相手をするってのはそういう事よ。何発蹴ろうがしぶとく起き上がる、リアル起き上がり小法師みたいな奴なんだから」
「マジかよ」
「この状況で嘘をつくとでも?」
張りつめた空気である事は間違いないの
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