第四章
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第四章
「どうしたもんかって言って」
「迷ってるのって聞いたらああ、って頷いたわよね」
「そうだよな。けれどこれって」
「わかった?」
「・・・・・・・・・」
何となく事態が飲み込めてきた。この流れは。
「ってことはだ」
「そうよ、やっとわかったわね」
奥田さんは俺を見上げてニヤリと笑ってきた。背の低い彼女は俺を見上げるしかなかったのだ。その背の低い娘に俺は一方的にやられてるわけだが。
「やってみたら?」
「告白かよ」
「そういうこと、男ならドーーーンとね」
「ドーーーンっとって」
俺がまだ戸惑っていると奥田さんはまた言った。
「私だって今の旦那にはかなり強引にやられたんだから」
「強引にって」
「毎日毎日強烈なアタックでね。それでね」
「そうだったのか」
「迷うより動け、よ。とにかく」
「動け、か」
「岡本さん彼氏いないしね」
「何でそんなこと知ってるんだよ」
「女の情報網舐めないの。全部知ってるんだから」
「っていうか奥田さんの情報網でしょ」
「そう言うかも知れないわね」
昔から奥田さんの耳年増は知っていた。中学校の時はそれで有名だった。それは今も相変わらずだったというわけだ。いいのか悪いのか。少なくとも今の俺にとってはいいみたいだが。
「だからよ」
「ここで度胸を据えて」
「そうよ、当たって砕けろ」
「砕けたらどうするんだよ」
「また向かえばいいじゃない。そして」
「実るまで当たるのか」
「そうよ、やってみて」
「逃がした魚なのに」
「逃がした魚はまた捕まえればいいのよ」
気軽に言ってくれると思ったが言われてみればその通りだ。だから言い返すことも出来なかった。
「違うの?」
「それはそうだけど」
「じゃあ覚悟しなさい。海に飛び込んででも」
「よし」
言われていたらその気になってきた。俺も単純なものだ。
「いざ鎌倉へ」
「その意気よ」
「じゃあ行って来るよ」
「ええ、頑張ってね」
奥田さんの笑みが見えた。何か同級生というよりは姉貴みたいな顔だった。俺には姉貴なんてのはいなかったがそんなふうな顔に見えた。
「勝利を祈るわ」
「それ以外はないと思ってことかい」
「だって、これは勝負なのよ」
「まあそうだけど」
恋を実らせるのか実らせないのか。そうした意味では確かに勝負だった。負ければ問答無用で崖っぷちからまっさかさまの。それを考えるととんでもなくリスクが高い。だが。
「やってやるぜ」
「その意気よ」
俺はもう引く気はなかった。止まる気もなかった。
「ここまで来たらな」
「そうよ、やらなきゃね」
「何かわかったよ、逃した魚は」
「また捕まえればいい」
「そういうこと、何度でもね」
「海に潜っても」
「捕まえて来るよ、
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