暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
アリシゼーション編
第一章?七武侠会議編
狼煙
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かない。どうせ親父か爺さん辺りが知ってるんだろうからな。帰ってから訊くとするさ」
「いえ……もう少し落ち着いたら、私から話させて下さい。私の、皇の問題ですから」
「そうか……」

とは言っても、何時引き金となる事が起こるか分からないここに長居するのはまずいだろう。
少し名残惜しさはあるが、仕方が無い。

「戻りましょう。現実世界に」


すぐ近くの中立都市という場所でログアウトした私達は、部屋を片付けると外へ出た。
螢さんは後で払ってくれればいい、と言って会計をしてくれているのでここには居ない。時刻は流石に夕暮れ時で今から帰ると着くのはもう完全に日が落ちた後だろう。幸い付近までのバスはまだ運行しているので徒歩で帰るという事は無さそうだ。

「大丈夫?友紀奈」
「うん、大丈夫。ごめんね、木綿季」
「ううん、別に気にしなくて良いよ」

そう言ってにこ、と笑う木綿季は同性の私から見ても可愛らしく、どこか安心してしまうように思えた。
少し歳下だと言う木綿季はどこか妹のようで……兄弟姉妹の居ない私にとっては新鮮な触れ合いだった。

「2人ともお待たせ。さて、戻……」
「?……どうかしましたか?」

戻って来た螢さんが途中で言葉を切り、北の空を見る。その方角はこれから帰る場所、皇の別宅がある方角だ。

「螢……?」
「友紀奈、君の家族……親父さん達はどちらに?」
「え?あの、お母様達はまだ若いですが皇の役目は私に移り、実質引退しているようなものなので……会議に合わせ、九州の方へ」

お父様は九州に拠点を置く『清水』の出。恐らくはその実家に身を寄せて居るのだろう。

「清水か……遊菜さんの実家なら安心か……出来れば居て欲しかったがな」
「あの……何を?」

ボソボソと独り言を言って頭を掻いている螢さんに色々な意味で不安が募り、詳しく話を聞こうとする。が、

「木綿季、友紀奈。しゃがめ」
「へ……うぇ??」
「きゃ??」

突如、ガクッと力が抜け地面に膝を突く。同時に怒号と打撃音。そして地面に人が倒れるような鈍い音がした。

「移動する。まずは京都から脱出だ」

顔を上げると地面には仰向けに倒れている2人の男。その側にはつや消しが施された刃物が転がっていた。

「2人とも、大丈夫か?」
「う、うん」
「あの、この方達は……?」
「恐らくは山東の残党です。別宅も襲撃を受けているようですね」
「そんな……」

螢さんが見ていた北の空をよく見ると、上空には黒い影が。あれは、烏だ。新鮮な死肉を漁る、凶鳥。
まだ街中に居る烏達も俄かにざわめき、不気味な鳴き声の合唱が響いていた。
街を行く人達も異変を感じ取ってか、そわそわと辺りを見回し、何人かはこちらを見ている。

「行きま
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