アリシゼーション編
第一章?七武侠会議編
狼煙
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でも理論的に理解する前に、無意識に場の空気を嗅ぎ取って本能で理解するからこそ《絶剣》ユウキは強かった。そして今はそれを意識的に行う事で相手を深く見極める事が出来る。
「キミは……誰?」
七武侠が組織されてから数百年。つまり、皇が不戦を誓ってから数百年間、執念深く隠して来た秘密をユウキはその力で暴いた。
表と裏、光と影の境に立ち、双方が混じらぬよう監視するのが七武侠。
そんな"些細な事"は旧時代の武力が廃された、文明開化の時分に時の有力者達の耳触りが良いようにでっち上げられた建前に過ぎない。
「ユキナじゃ無いよね。誰なの?」
「…………」
ユキナの姿をした"誰か"は答えない。
代わりにユウキの剣を押し返すと、体を回転させて斬りかかってきた。それを少し身を引いてかわすと、左手に剣を持ったまま右の剣の柄に手を添え、勢いよく突きを放った。
"誰か"はそれを剣の腹で受け止め、自分の剣を覆い被せるようしてユウキの剣を叩き落とす。そしてそのまま返す刀でユウキの腕と首を斬り落とさんと剣を振り上げてきた。
その剣尖をユウキは後ろに下がることで避ける。空を斬った剣を目がけ、二閃が走る。一刀目は柄を叩き剣を宙に舞わせ、二刀目はその剣を真っ二つに叩き折った。
「…………??」
「レイ??」
「ああ。よくやった」
ユキナの後ろから黒い帯が伸び、手足を体ごと拘束する。《攻撃用アクセサリ》ドラゴンテイルに専用スキルは無く、システム的に拘束する力は無い。ただ、レイが普段腰に巻いて、マントを縛っているように巻きつければ物理的拘束は可能だ。ちなみに強度は耐久値に依存する。
「……っ!……っ??」
「悪いな。少し、頭冷やして来い」
ユキナを拘束している帯の端とは反対の端を握ったレイがそれを勢い良く振り回す。宙でレイを中心に一回転したユキナは真下の、オアシスの湖に叩きつけられる。その衝撃は凄まじく、水柱がレイとユウキの足下まで立った。
「……レイ、やり過ぎだよ」
「うぐっ……」
少し責めるように目を細め、肘で脇腹を突くユウキにレイは何も言い返せなかった。
目覚めは酷いものだった。体が重く、妙なだるさが煩わしい。
「…………」
「あ、ユキナ。起きた?」
「大丈夫か?」
意識が回復するにつれ、記憶も戻って来た。ここはVRワールドで……そうだ、私は皇の『禁忌』に触れてしまって……。
「……迷惑を、かけてしまいましたね」
「なに、驚いた事には驚いたが、ここは仮想世界だ。多少の事はどうにでもなる」
見れば、覗き込んでいるレイさんもユウキも気にするなと言わんばかりに笑っている。
少なくとも、怒っていないという事が分かって私は密かに安心した。
「アレの事、詳しくはまだ訊
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