第三話〜円〜
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水銀燈を家に置くことにはなったが、上手くやっていけるかはまだわからなかった。自信はない、僕がめぐのように水銀燈を理解出来るかものすごく不安だ。だけどめぐの分まで、そして何より自分の正直な守りたいという思いが僕を駆り立てている。
リビングに降りるとのりさんがお昼ご飯を作って待っていた。人形達とテーブルを囲む。
「改めて、すごい光景だなぁ。」
人間の食事に人形が混ざっている。彼女達が本当に生きているのだと感じさせてくれる。
「たまに忘れるけど、皆んな人形なんだよな。」
「これだけ精巧なんだもの、しょうがないさ。あ、そうだ。みんなのこと、もっと教えてよ。好きなものとかさ。」
それからは楽しかった、天真爛漫な雛苺ちゃんが騒いだり、庭師の双子とガーデニングについて話したり、ジュン君とのりさんの姉弟らしいやりとりを見たり、この家族の仲の良さを感じた。やがて日も落ち始め、僕は水銀燈を連れて帰ることにした。
「すいません、お昼までいただいちゃって。」
「いいのよう、そんな。また来てくださいね。」
「水銀燈、良い子にしてろよ?」
「うるさいわねぇ。子供じゃないんだから。」
バスケットの中から毒を吐く水銀燈。
「シオン、また来る?」
「うん、また一緒に遊ぼうか。雛苺ちゃん。」
「うん??」
「さようなら、今度あなたの花屋を見に行くかもしれないです。」
「いつでも来てよ。サービスするから。」
「あー!抜け駆けはダメですよ蒼星石。翠星石もいくです!」
「ふふ、最初はあんなに警戒してたのに。」
「う、、、、。は、花のことがわかる奴に悪い奴はいねぇです!」
「うん、二人でおいでよ。待ってるから。」
ドアを開けて帰る前にジュン君に言った。
「真紅ちゃんのこと、何か出来たら協力するよ。」
「うん、ありがとうございます。」
真紅、彼が最初に出会ったローゼンメイデン。他の姉妹である人形達を一人にしないために、自分を犠牲にした彼女の心であるローザミスティカを作るために彼は奮闘しているようだ。僕ができなかった誰かを救うということ、少しでも手伝ってあげたい。
久しく忘れていた団欒を体験した僕は、惜しみながらもジュン君の家を出て帰宅した。新しい住まいだが、水銀燈も特に気にせず日の当たる縁側へと移動した。その隣に僕も座る。
「やっぱり、君とは一緒になると思ってたよ。」
「いきなりどうしたのよ。」
「僕の育て親がね、言ってたんだ。縁は円だって、一度会えばまた出会う。巡って、廻って。」
「ふん、ばっかみたぁい。」
「でも今、一緒にいるだろう?」
「結果的にね。」
「ふふ、、、。ま、ということでこれから
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