第三話〜円〜
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望んだことなんだ。」
水銀燈を少し見る。水銀燈も真っ直ぐ紫苑さんを見つめている。
「だから、気にすることはないんだ。むしろ謝るのは僕の方だ。僕がするはずだったんだ。ごめん。」
また頭を下げる紫苑さん。違う、非があるのは僕だ。口を出かかったその言葉は立ち上がった水銀燈に遮られた。
「どうして、、、。」
少し躊躇いが見えたけど、しっかりと彼女は自分の思いをぶつけた。
「どうして、謝るのよ!大切な人の仇が目の前にいるのよ!」
「、、、。」
「悪いのは私、いつも側にいながらあの子を救えなかった!死なせてしまった!私はーー」
降りかかる言葉を払いのけ、紫苑さんは水銀燈をぎゅっと抱き締めた。
僕も他のドールズもその様子に目を丸くした。二人の成り行きを見守る。
「一人で背負い込み過ぎなんだよ君は、、、。」
ゆっくりと腕を解く。そして水銀燈の目を真っ直ぐに見つめて。
「めぐは、水銀燈に感謝してたよ。口にはしてないけど、心で伝わってきた。間違ったことはしていない。」
「でも、それは辛いことだったはずだ。ホントは僕が背負うはずのこと。」
「だから、一緒に背負っていこう。君は一人じゃないんだから。」
「、、、、。」
柿崎めぐが絡むと、水銀燈は素直になる。直情的になった彼女に、この時の紫苑さんの言葉は彼女の心の重みを軽くしていったと思う。しばらくして、自分がどれほど恥ずかしいことをしているか気づいた水銀燈。
「い、いつまで触ってるのよ!」
翼で紫苑さんをはらう。
「こ、こらお前、、、!紫苑さんは、お前を!」
「いいんだジュン君。それでさ、今日はもう一つお願いがあるんだ。」
「すいません。何ですか?」
「水銀燈を、僕のところにいさせてくれないかな?」
「え?」
「はぁ?」
僕は考えた。確かに、めぐさんで繋がる二人なら上手くやっていけるかもしれない。水銀燈のためにもなるかも。一緒に、っていうのはそういうことか。でも水銀燈は彼に負い目を感じている、断るかもな。
「、、、僕は、いいとは思う。でも、」
水銀燈を見る。彼女も色々思うところはあるはずだ。
「お前はどうなんだ?水銀燈。」
「、、、、、、さあね、勝手にすればぁ?私は自由であればどこでもいい。」
「だとさ。」
「うん、、、ありがとう水銀燈。」
案外、あっさりと水銀燈は承諾した。僕としても、水銀燈がいたい所にいることが大事だ。
「勘違いしないでよね。私はただ、めぐの想う人がどんなヤツか見たいだけ。」
こうして、水銀燈は紫苑さんの元に託されることになった。
一通りの大事な話を終えて、僕達はリビングへと降りた。
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