第三章
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てやつだ。今それを考えてもどうしようもないがついつい考えちまう。
「声かけてりゃなあ」
「ふられたかも知れないわよ」
「きついね、奥田さん」
俺は彼女に顔を向けて言った。
「けどあの時はなあ、仲悪かったし」
「君もかなり性格悪かったし」
「へいへい、否定はしませんよ」
「そんなのだから。捻くれ者でね」
「ヘッ、それで今後悔してるのさ」
俺は奥田さんにそう返した。
「こんなことになるんだったらなあ。本当に」
「何か愚痴愚痴してるわね」
「愚痴も言いたくなるよ。見ろよ」
どいつもこいつも岡本さんを見ている。あまりにも奇麗になったのでヒソヒソと話す奴等までいる。本人はそれに気付いているのかいないのか。平気な顔だ。気付いていたらもうかなり満足しているだろう。気付いていなかったらかなりの天然だ。まあ俺が知っている岡本さんなら気付いているだろうとは思うが。
「注目の的じゃねえか」
「そうよね、あれだけ奇麗だったら」
「どうしたもんかね」
「どうしたもんかねって」
俺はここで無意識に妙なことを言っちまった。言った瞬間には気付かなかったがすぐにそれを突っ込まれた。また迂闊なことをやっちまった。
「迷ってるの?」
「ああ」
また無意識に答えちまった。何か夢うつつだった。そしてその夢うつつのうちに俺は墓穴を掘っちまっていた。気付くのは奥田さんの言葉からであった。
「じゃあしっかりしなさい」
「しっかりしなさいって?」
「男ならね、当たって砕けろよ」
「当たって砕けろって」
「私だってね、何で結婚したかわかる?」
「あのさ、何言ってるの?」
俺は最初奥田さんが何を言っているのかわからなかった。
「何か訳わからないんだけれど」
「自分の言葉反芻しなさい」
「反芻って牛じゃないんだから」
「とにかく思い出してみてよ」
「あ、ああ」
何が何かわからないままそれに頷いた。そして自分の言葉を思い出す。
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