第一の晩 (1)
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拒絶。嫌悪。疑念。不信。その全ての感情をごちゃ混ぜにしたような眼差し。その手に握られているのは、子供むきの髪留め。
「......ゴアイサツ、だな」
「うるせぇ。俺は、魔法も魔女も信じねえ。お前は誰だ!!」
「そう興奮するなよ...。ちゃんと答えてやるから」
俺はその辺の椅子に腰を下ろす。少し腰をズラして、背もたれに寄り掛かって足を組んだ。
ベアトリーチェが続き、ようやく戦人も腰を下ろした。
独りでに現れる紅茶や菓子を手に取りながら、俺はもう一度名乗った。
「...俺はお前を知らない」
「そりゃそうだ。この『世界』では、お前と俺は過去に出会った事はない。むしろ、イレギュラーは俺の方だ」
「お前、どっち側なんだ?」
「中立だ。どちら側の味方でもない。目的の為に、この『世界』に来た。...まあ、《虚無の魔導師》なんて呼ばれてはいるがな」
他にも、《死神》だの《狭間の住人》とも呼ばれていると伝える。
戦人の眉間のシワがより深くなる。だが、嫌悪は薄まった気がする。
「......単刀直入に言うと、今回のゲームは俺が引き継ぐ」
「はあ!?」
当然の反応だな。ベアトリーチェとのゲームは始まったばかり。そこに急に現れた部外者に、ゲームを乗っ取られでもしたら...。
こんな心境だろうか?
「安心しろ。俺が引き継ぐのは出題者の方だ。このゲームに勝てたら、ベアトリーチェに勝ったのと同じにしてやるよ」
「ほ...本当かっ!? 俺は帰れるんだな!」
「ただし、負けた時は俺の言う事を聞いてもらう。...どうだ? 悪い話じゃないだろう?」
手に取った紅茶を飲み干し、戦人の返事を待つ。
俺にとっては、勝っても負けても同じ事。迷う必要はないと思うんだがな...。戦人は、何を迷う?
三杯目の紅茶を飲み干したところで、戦人の答えは出た。
「そのゲーム、受けさせてもらう」
決意が浮かぶ眼差しに、口の端が上がった。
戦人は、手に持つ髪留めに「もうちっと、待っててくれよ」と小さな声で囁いた。
「じゃあ、俺のゲームを始める前にこれまでの出来事を説明してくれ。頼んだぞ、ベアトリーチェ」
気合いが入った返事をしながら、ゲーム盤上の指し手を巻き戻す。
一手目、六軒島。薔薇庭園にて、ゲームの開始を告げる。
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