28話 『白きヒト』
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分と同じような、深いサファイア色の瞳。
………美しい顔立ちと、女性らしい柔らかな表情。
『貴方に………これを』
儚げな両手で、クリスタルガラスの小瓶を差し出してくる。
『[空気の水]と呼ばれる物が、この中に入っています。地上の人がこれを身体に振り掛ければ水の膜に包まれ、その周りに限りない空気を作り出し、海流に流される事もなく自らの意思で自由に行動や会話ができ、効果は海中に居る限り続きます。────私たち人魚にとってはその逆に、地上で行動出来る唯一の手段』
「じゃあ、オマエは人魚……? まさかオレを、オレ達を荒海から引き上げてくれたのは───── 」
ランクの言葉に小さく頷く、擬人化している白き人魚。
『水の源の欠片を司るお方………どうか貴方の、貴方々の力で"水のカオス"に囚われている人魚たちを救って下さい。私たち人魚は、水の源の力が完全に失われれば泡となって消えてしまいます。水のクリスタルは、海底神殿の奥底にあります……。その失われた輝きを、どうか取り戻して───── 』
止める間もなく、波止場から向こう側の海へと浮上し霞のように白きヒトが消え行くと、風は強まり再び海は荒れ出した。
………その後、ランクはどこか夢心地で宿屋に戻り、早朝を迎えるや否や他の6人を叩き起こし昨晩の出来事を話して[空気の水]を手に入れた事を打ち明ける。
「ふ〜ん……、それが[空気の水]かぁ。おれにはキレイな瓶に入ってるただの水にしか見えないな?」
「まぁそうね……、でも人魚がくれたんなら確かな物だと思うわよ」
ランクが取り出して見せたクリスタルガラスの小瓶を怪訝そうに見つめるルーネスとレフィア。
「それにしても、船から荒海に投げ出されたのを助けてくれた上に[空気の水]もくれるなんて……、ランクったらよっぽどその人魚に好かれたんじゃない?」
「う、うっせーな……。助けられたのはシファもビルも同じだろッ」
「ランクさぁん、赤くなってまセんかっ?」
「なってねェッつの! とにかくコレで海底神殿行けンだから、後は殴り込むだけだろッ!」
「けれど僕ら全員で行ったら、町の方が心配だね。海魔の襲撃は、"水のカオス"を倒しに行ってる間もあるかも知れないし………」
「アルクゥの云う通りね……、だったらこうしましょ? あたしとルーネスでシファ達3人と海底神殿に行くわ! イングズとアルクゥは、町の防衛に務めて頂戴!」
「おぉ、いいぜレフィア! 二人もそれでいいか?」
「あぁ、異存ない」
「僕もOKだよ!」
「ランくん達も、それでいいかしら?」
「別に、構わねェけどよ………レフィア、お前なんで赤魔なンだ?」
「何よ、悪い? そりゃ
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