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ファイナルファンタジーT
28話 『白きヒト』
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 あの時─────そうだ、平原で目醒める前の…………


アイツは、王女に手を下して────違う、罪を着せられたんだ。

だから、賞金稼ぎや魔導士団に狙われて………拷問にまで掛けられてクリスタルの欠片を奪われそうに─────

聖騎士の奴とモンク野郎の協力もあって、何とか助け出せたが…………


オレもクリスタルの欠片を持ってたなンざ、この時まで知らなかった。

背の小せェ魔導士と、白魔法得意な割に騎士目指してる女も持ってやがって…………

あの時4つ集まったのは、偶然じゃなかったってのか?


 ────そして、カオス化した王にオレ達はやられたハズだった。

けどアイツが、オレ達を甦らせた………? 何の、力だったんだ。

ただの、白魔法じゃねェ。紅い、羽が─────


オレは結局アイツの事何も知らなくて、無理矢理ついてって知ろうともしたが…………

アイツは何を知ってて、オレは何を知らなかったってンだ。

なぁ、教えてくれよマゥ─────




( ………ッ! ここは……? あぁ、そーか。オンラクの町っつートコの宿屋、だったか…… )

 シーフのランクは、汗の滲んだ額に手をやりながらおもむろに身体を起こし、夜目の利く目で周囲を見やる。

( あ? ここ4人部屋だったか?? 1人床に寝てやがるが……。そーいやオレとビル以外に、野郎3人か。もう1人の女の方は、シファと同室で別の部屋だっけな )


 一時的に手を組む事になった協力者達の事を思い出しながらぼんやりしていると、まだ室内や窓の外は暗く夜中だというのに気付く。

( 雨、止ンでるみてェな。風も、それ程強くねェみてーだ。………何かのユメ見てた気ィするが、思い出せねェな。────クソ、もやもやするぜ。雨降ってねーし、ちょっくら外出て気分転換してくっか )

 1人床に寝ている者と他の者を起こさぬよう、ランクは忍び足で部屋を後にした。





 宿屋手前の噴水広場には先客が居た。後ろ姿で、絹糸のように長く白い髪。足元まで隠れた純白のワンピースに身を包み、その姿は夜目にも映えて微かに発光しているかのようだ。

( オマエ、は………? )

 喉まで出かかった声は出ず、ランクは思わず見覚えのある存在と姿を重ねる。赤マント姿ではないが、白銀の長髪があの存在を想わせる。

────ふと、噴水前を横切った白きヒトは音もなく駆け出し、ランクを誘うように波止場の方へ向かって行く。

( 待ってくれ、オマエは一体……!? )


 波止場の海面は荒ぶる事なく鎮まっており、夜闇の雲間からは蒼い月が覗く。

白きヒトは波止場の先端まで追って来たランクに対し、おもむろにこちらを振り向く。


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