第六話:英雄と殺人鬼
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ずの痛みが、体中を駆け巡る。
しかしそれは今に始まったことではない。
恐らくはナーヴギアのシステムである痛覚遮断が何らかの問題で機能していないのだろう。元よりこの身と精神は痛みを感じ続けてきた。
いつも通り、すぐに立ち直って起き上がろうともがく。
だが、
「ぐ…これは」
HPゲージが緑色に点滅する枠に囲われていた。間違いなく、幾度となく喰らってきた麻痺状態。それが、レンの体の動きを止めていた。
ソロプレイヤーであるレンは、壁戦士ほどではないがそれなりに耐毒スキルも上げていた。それを以ってしても、動きの一切を制限するとなるとかなり高レベルの麻痺状態だろう。
「恨まないでくれよ? こうでもしねえと英雄サマには勝てねえからよ」
「く、そ…!」
目の前には魔剣を携えた殺人鬼、状態は麻痺、指一本動かすことも叶わない。
正に絶体絶命。ソード・ダンサーを発動しようにも冷却時間はまだ五分以上ある。それまでにレンのHPは削り切られているだろう。
それに、今のレンがそんな理知的な事を考えられる状態ではなかった。
彼にとって、アイギスとは全てであった。アイギスの存在があったからこそ、彼は未だにこの世界で生きている。
そんな存在を、PoHはあろうことか自らと同じ犯罪者であると宣った。
許せるはずがなかった。今すぐにでも冷たい谷底の地面に転がる十字架剣を拾い上げてあの長身を半分にしてやりたかった。だがその激情を、麻痺と言う名のシステムが邪魔をする。
「さて、Finishだ。別に恨んでくれても構わないぜ?」
激情で意識が漂白される。ゆっくりと白く塗り潰されていく視界に、目前に迫った兇刃が映った。
to be continued
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