第六話:英雄と殺人鬼
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機していた《軍》の兵士がなんとかしてくれるだろう。
無邪気な少年殺人鬼による犠牲者も、これ以上増えることはないだろう。
「さて」
その人物と向き直ると、レンの背後に待機していた切っ先の剣軍は姿を消した。レンが意図的に消したのではない。《ソード・ダンサー》を発動しておける制限時間を超えたのだ。
どれだけ強いスキルでも、それには必ず弱点が存在し得る。製作者の趣味なのか、それとも思考が捻くれているのか、少なくとも鉄城にはその法則が適用されている。
一見、無敵のスキルのように見えるし、更にその通りなのだろうが、『ソード・ダンサー』にもしっかりと弱点は有る。
それは、発動していられる時間が短い事だ。数字に表して五分。それがソード・ダンサーの限界だ。再び発動するには発動時間の2倍、つまり十分の冷却時間を要する。
「チッ、正義の味方のつもりだかなんだか知らねえが、一体なにが目的だ?」
舌打ちを漏らす。己の不利が分かっているのだろう、美貌の殺人鬼は正義の味方に問い掛けた。
しかし正義の味方はそれに答えるつもりはないらしく、剣を握り直し構える。
「復讐か?」
「ーーっ」
だがそのPoHの一言に、レンの持つエスピアツィオーネの切っ先が揺れた。
初めて見せた動揺に、殺人鬼は口角を吊り上げる。
「なるほどなるほど。そういやアンタもアイギスのメンバーだったな」
「…黙れ」
震え出した剣先を抑え込もうとしてもうまくいかず、レンは剣を握る右手を左手で掴んだ。
「信頼した仲間の本性を知って、お前はどう思った?」
「黙れ…!」
殺人鬼は止まらない。彼の言葉はまるで毒のようにレンの心に沁みこみ、そして侵す。
「そりゃ絶望したよなぁ? なにせ、奴らは俺達のスパイだったんだからよぉ」
「黙れ!」
一度その身に毒が入れば、容易に抜くことは叶わない。胸に去来するドス黒い感情を振り切るように、贖罪の名を持つ剣を斬り払う。
「みんなを悪く言うのは許さない、ってやつか? 笑わせてくれるじゃないか。アイツら自身なんだぜ? 俺達に助けを求めたのは。得るものは金、対価は情報と信頼、奴らは迷いなく金を選んだよ。攻略組のお前らを裏切ってな。結局奴らも、俺達と同じ犯罪者なんだよ」
「黙れッ!!」
白の外套を翻し、その身が宙を掛ける。
激情に任せた一点突貫、スキル発動なしの渾身の突き。
「ーーナメんなよ」
「ガッ!?」
だがそれでは、百戦錬磨の殺人鬼に届くことはない。
悠々と躱され、突きで伸びきっていた腕ごと剣を下段から切り上げられる。ガラ空きになった胴へ回し蹴り、抵抗もなくレンは吹き飛ばされた。
「ぐッーー」
感じないは
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