第六話:英雄と殺人鬼
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「フン、どうかな? やってみなければ分からないさ」
「テメェ、この状況分かってて言ってんのか!? こっちには人質もいるんだぞ!」
数的不利に加え、人質を取られた。圧倒的窮地に立たされても余裕の態度を崩さないレンに、ジョニー・ブラックは苛立ちを露わにした。
「ああ、分かっているさ。しかしPoHよ、その程度の拘束で人質を取ったって言えるのか?」
「…なんだと?」
それでもレンは態度を変えない。
あくまで余裕を持って、決して殺人鬼の言葉に呑まれてはならない。だがその眼は、体は、ユメを助け出す隙を虎視眈々と狙っていた。
レンの言葉に訝しげな表情を浮かべるPoHに笑みを浮かべ、そしてレンは地を蹴った。
「なッ、にーー!?」
鍛え上げられた敏捷値にモノを言わせ、一瞬の隙をついた突貫。
それは無謀の一言。
レンとPoHの彼我の距離は十数メートルも離れている。彼がPoHを間合いの内に入れるのより、PoHが剣を構えるかユメを殺すか、どちらかの行動の方が早い。
PoHが中華包丁を思わせる大振りのダガーを構える。どうやら迎撃を選んだようだが、レンにとって、それは然程関係のないことだった。
「ッ!」
無音の呼気と同時、漆黒の剣が淡い光を纏って飛翔した。
投剣スキルである《ブラスト・シュート》。それは通常、ダガーよりも小さな武器でしか発動することができない。
しかし、レンの持つ《無限剣》スキルによる恩恵で、どんな武器であれ発動モーションを取れるのならばそのスキルが発動するようになっている。
そのため、レンの持つクリミナルエスパーダでも投剣スキルを発動できたのである。
ソードスキルによる恩恵を受けたクリミナルエスパーダが谷底の闇を切り裂き、美貌の殺人鬼に迫り、しかしすんでの所で弾かれてしまった。
宙へ踊ったクリミナルエスパーダはポリゴン片と化し、レンのアイテム欄へ戻っていく。
「これで、十分」
「いつの、間に…!」
だがそれで十分。クリミナルエスパーダの対処に意識を割いていたPoHの懐に入り込むのは容易なことであった。
ユメを抱えている右腕を切り裂くようにエスピアツィオーネがPoHを襲う。
ユメという荷物を抱えていれば回避は無理だろう。故にPoHは人質を諦めた。ユメの体が解放される代わりに、刃が空を斬る。
「油断したな、殺人鬼」
「貴様ッ!」
珍しく声を荒げる長身の殺人鬼へ笑みを浮かべ、レンは倒れこむユメの体を抱き起こしその場を離脱した。
「さて、これで人質は解放された訳だ。どうする殺人鬼共、大人しく諦めて投獄されるか?」
「あまり、舐めるな。貴様、如き、三人でかかれば、負けることは、ない」
「殺す!テメェだけはぜってぇにゆるさねぇ!」
「
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