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カンピオーネ!〜英雄王を弑逆せし魔王〜
プロローグ
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[1] 最後
「クハハハハハッ!まさかこの(オレ)がよもやただの人間などにましてやこのようなガキしてやられるとは……」

 その声は、俺の丁度(ちょうど)真上から、俺を見下(みお)した体制で呟かれていた。
 俺は、体の至るところから血を流して倒れていた。真上から見下している金ピカな(よろい)を着た男には、人間で言う心臓の位置に剣が突き刺さっていた。いくつかの巡り合わせのせい、所謂(いわゆる)運命の悪戯(いたずら)とも言うべき偶然によって闘うことになってしまったのだ。俺は両親(りょうしん)とイラクに旅行に来ただけだった。そこでもうすぐ目的地に着くはずだった俺の乗っていた飛行機は、事故に()ったのだ。実際は目の前にいる男によって引き起こされたことらしいが……

慢心(まんしん)……して…から……だよ」

 なんとか最後の力を振り絞って先ほど聞こえてきた声に反応した。

「ほう、そのような状態でなお口をきくことができるのか。さすがは、(オレ)を倒した者よ。見事であった、()めてつかわすぞ」

 口調からして、とても唯我独尊(ゆいがどくそん)である性格なのが伺える。だが実際、その男が言う通り今の俺の状態は、お世辞にも大丈夫とは言えない。体中に、剣や槍、はたまた斧などの武器がいたるところに刺さっており、誰がどう見ても瀕死(ひんし)の状態であると答えるだろう。なのに俺はまだ朦朧(もうろう)としているが意識を保っていた。

「ははっ…そりゃ、どうも……でも……なんか楽しかった」

 俺は、笑顔でそう言った。
 そう、楽しかったのだ。ありとあらゆる武器で体中を(つらぬ)かれながらも最後には金ピカ男の心臓に刀を突き刺すことができたのだ。つまりは、相打(あいう)ちになった。殺されながらも楽しかったと思えた自分がとても不思議(ふしぎ)だった。なぜか知らないが戦いの中で楽しいと思ってしまったのだ。戦いの中で自分と相手とでは決定的な差があることを(さと)りながらも戦った。

「ふむ、(オレ)の力が小僧に流れ込んでいるな」

 流れ込んでる?金ピカ男の言葉を朦朧(もうろう)とした意識の中で聞きなら、もう意識をなくしかけたところに女の声―――いや声の高さから考えれば少女(しょうじょ)の声―――が聞こえてきた。

「お初にお目にかかりますわ。ギルガメシュ様」

「ふむ、早いな。貴様(きさま)がパンドラか?随分と目ざといものだな。新たな子の誕生にもう気がついたとは……」

「あら、御挨拶(ごあいさつ)ね。あたしは神と人のいるところに必ず顕現(けんげん)する者。あらゆる災厄(さいやく)一掴(ひとつか)みの希望を与える魔女ですもの。(おどろ)く程のことでもないでしょう?……この子
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