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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
06
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いつつ片腕で持ち上げた。
 レベルVのバリスティック・シールドともなると、重量は15kgを超える。義体でなければ出来ない芸当だ。
 テロリストもこちら側で動きがあったのを悟り、小銃を構える。
 その射線上。
 右手にM3を、左手に盾を携えたタンポポは、天端の口に立った。

「行け!」

 初瀬が告げるなり、タンポポは並ぶ敵に疾走した。
 同時に噴いたAK-47の銃火に盾を掲げ、弾を防ぐ。
彼女の後ろでも初瀬とSATの銃撃が始まり、タンポポの頭上に左右に弾丸が飛び交う。
 義体の脚力は約五十メートルの距離を五秒で縮めた。
 土のうの前に迫ったタンポポは、上に跳んだ。
 弾幕を、土のうを、テロリストを眼下に超えて、擦れ違いに散弾を放つ。
 鉄粒の雨に降られ、一人肉微塵になった。
 テロリストのすぐ後ろに着地し、踵で回る。遠心力を乗せてシールドで横に薙いだ。
 盾の打撃を食らい、テロリストが二人まとめて吹っ飛ぶ。
一人は運よく堤縁のコンクリート塀に叩き付けられ失神しただけで済んだが、片方はダムの断崖に吸い込まれ、悲鳴を上げながら落下していった。
 防壁の後ろを取られたテロリストたちは慌てて銃を反すが、タンポポに向く前にM3の射撃。射撃。射撃。
 ソードオフされ絞りのない散弾は爆発的に飛散し、テロリストを四人、瞬時に肉塊に変えた。残り二人だ。
 AK-47の銃口がタンポポに追いついた。
 シールドを前に構えて攻撃を弾き、盾の陰から三連射。
 テロリストは血をまき散らしながら千切れ飛んだ。
 背後から銃声。
 堤縁に叩き付けられて気を失っていたテロリストが、意識を取り戻して撃ってきたのだ。
 だが狙いも定まらない射撃はタンポポの遥か右方を通り過ぎ、AK-47は弾を撃ち尽くす。
 テロリストは慌てて替えの弾倉を装填しにかかった。
 それに、返すようにタンポポはM3を向けて引き金を引く。が、何も出てこない。こちらも弾切れだ。
 リロードはAk-47の方が早い。
 テロリストは勝ちを確信し笑みで唇を歪めた。
 だがタンポポはリロードなどせず銃を手放し、腰のトマホークを抜いて投擲した。
 頭蓋骨ごと脳幹を叩き割られ、テロリストは笑みのまま死亡した。
 小河内ダム堤頂部の戦闘が終わった。
 血と肉が四散する戦場に佇むタンポポに、初瀬が走り寄ってきた。
 タンポポは笑顔を弾かせ、テロリストの頭に刺さったトマホークを引っこ抜く。
 脳漿をボタボタ滴らせ、斧を振り回す。

「どうだったどうだった!? タンポポ格好良かった!? ねえねえ!」

「めちゃ格好良かったぜ! アクション映画みたいだ!」

「でしょー! てしょでしょー! 最後斧がいい感じに刺さった時は自分で
も『格好いい〜!』って思ったもん!」
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