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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
06
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、間違っても全滅させないように」

「サキちゃんサキちゃん!」

 手を挙げてピョンピョン跳ねるタンポポに、坂崎は膝を折って視線を合わせる。

「どうしたのかなタンポポちゃん?」

「一人残せばオッケー?」

「出来れば三人くらいは残してほしいかなぁ。あとテロリストのリーダーである相野賢治は絶対確保」

「オッケー! 了解!」

 絶対に了解していなさそうな能天気な声でオッケーオッケーと連呼するタンポポの頭を、坂崎は優しく撫でる。
そのまま黒い兵士たちに穏やかに、たおやかに、のどやかに言った。

「それでは行動開始。国家の敵に血と鋼鉄の粛清を」





 小河内ダム提頂天端は、テロリストが点けたライトに照らされ視界良好だ。
 土のうが積まれたバリケードを眺めるのは、黒装備の二人組。
 ブッシュマスターACRを肩に担いだ男と、ベネリM3ソードオフを背負ったチビ。
 初瀬とタンポポだ。
 この場を死守していたSAT隊員たちは、明らかに困惑していた。
 この場を指揮するらしい二人組は、素性を明かさず、武器も日本の治安組織が持つ装備では無く、一人は大人の半分ほどの背丈しかない。しかもチビは散弾銃の他に、腰に軍用トマホークまで吊っている。
 一体こいつらは何なのだ、という当然の疑問が彼らの脳内にふつふつ湧くが、自分から言わないならきっと機密事項なのだろう。

「ねーねーシンイチ、このマスク取っていい? 息し難い」

「ああ? 部長が被れって言ってたんだし、取っちゃダメだろ」

 言ってる間に、タンポポは頭をすっぽり覆うマスクを脱いでしまった。
 出てきたのは、髪の短い、小動物めいた風貌の少女の顔だ。

「な!?」

「……あー、これ機密事項な。部外秘」

 どよめくSATに、初瀬は口に人差し指を当ててシーッと仕草を見せた。

「んで、どうすんのシンイチ。突っ込む?」

「そうだな……」

 突っ込んでもいいが、ただ突っ込めば間違いなく死ぬ。
遮蔽物のない直線の地形で、アサルトライフルの弾幕に晒されるのは自殺行為だ。
 初瀬はSAT隊員に振り返る。そして彼らが持っていたバリスティック・シールドに目を付けた。
 無言で一つ手に取り、持ち上げて重さを確かめる。

「これくらいなら大丈夫か。なあおい、この盾のNIJ規格は?」

「レベルVです」

 話を振られたSATが答えたNIJ規格とは、防弾性能の国際規格のことだ。レベルVだとライフル弾にも耐えうる防弾性能を有する。その硬さは先ほどの戦闘でも実証済みだ。

「よしよし、これ借りるぞ。タンポポ、持てるか」

「何これ、盾? ……うわっ重っ!」

 初瀬が両手で抱え渡したシールドを、タンポポは重いと言
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