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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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人間です。これが指令状。君の指揮官に通していただけますか?」
若い、柔和な女の声だ。
SAT隊員は銃口を黒衣装に向けながら、掲げられた紙を見る。
確かに警視庁公安部の証印が押されていた。
「待っていろ」
SAT隊員は一応銃を降ろすが、警戒は解かずに黒づくめの女に身体の正面を向けながら、輸送車のドアを叩く。
「どうした」
指揮官のSAT隊長がドアを薄く開く。
「おかしな連中が来ました。警視庁の指令状を持っています」
「来たか……」
隊長は顰み面を作る。そして渋面のままドアを開き、黒装束を車内に招き入れる。
「どうも。これが指令状です。ご確認ください」
彼女は隊長に指令状を手渡し、内容を把握するのを待つ。
「…………了解した」
黒く物々しい出で立ちに、車内のSAT隊員たちはギョッと凍り付いていたが、
「では現時刻を持って、この現場の指揮権は我々に移ります。よろしいですね?」
女の言葉で熱り立った。
「お前、いきなり来て何を……!」
「止めろ!」
抗議に立つ隊員たちを指揮官は諌める。
「…………よろしく、お願いします…………!」
搾りたての苦虫の体液を千匹分飲み干した様な憎々しげな声で、錆固まったブリキ人形の様なぎこちない動きで、ゆっくりと頭を下げた。
「はい。これより小河内ダム及び多摩川第一発電所の奪還作戦を決行します。
時間が無いので手短に。我々が突入するので、SATは後続して援護をしてください。それ以外のことはしなくて結構です。後は現場の隊員の指示に従ってください。
今から十分後に行動開始です。急いで準備してください。以上」
女は最低限の説明を矢継ぎ早に言い、一礼。輸送車から降りて行った。
何から何まで突然すぎて、SAT隊員たちは呆然とするのみだ。
「……行動開始! 早く動け!」
隊長に怒鳴られ慌ただしく動き始めたSAT隊員を背後に、女はハイエースへ戻る。
「坂崎、首尾は?」
運転手に問われ、サムズアップでSATとの顛末を伝える。二台の車両の戸を拳で叩いて降車を促した。
「作戦開始ですよー。降りてきてくださーい」
「うーっす」
間の抜けた返事をするのは、坂崎と同様の黒装備。
国立児童社会復帰センターの面々だ。
まず初瀬。
「うっすうーっす」
次に彼の腰ほどの身長しかない義体、タンポポが毬のように跳び出てくる。
続いて蔵馬とモモ、常盤とアザミ。そしてセンターの後方支援要員たち。
「はい、それじゃあ打ち合わせ通り蔵馬さんと常盤さん達は発電所。初瀬さんはダムの上を制圧してきてください。
今回も例によって生け捕りが目的ですので
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