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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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小河内ダムに見下ろされた多摩川第一発電所。
その内部、二基の巨大なフランシス式発電機を囲む様にして、人質たちが数珠繋ぎに拘束されている。
三十八人いた人質は、一人減って三十七人になった。
全員が顔に麻袋を被らせられて表情は窺えないが、俯き震え、恐怖が全身の汗腺から汗と共に噴き出している。
彼らを取り囲むのは日本山林保護戦線が三人と、御堂が雇った密入国者が八人。
そして御堂と、日本山林保護戦線のリーダーの相野という男。
相野は唾を飛ばして御堂に詰め寄っていた。
「どうして勝手なことをした!? 人質は極力殺さないと言っていたじゃないか!」
彼は御堂が人質を突き落としたことに、激昂していた。
もともと日本山林保護戦線は、テロリストとは言っても穏健派。
特に最近はダムや高速道路の建設を邪魔しに行くことはあっても、人を傷つけるような活動をすることは無かった。
今回も人は出来る限り殺さないと、実行前に決めていたはずだ。
にも関わらず、御堂は早速人質を殺害してしまった。
「だから一人しか殺さなかったじゃないか」
御堂が不思議そうな顔をするのを見て、相野はこの計画に乗ったことを後悔した。
そもそもこのダム占領計画も、御堂が彼らに持ちかけてきた話だ。
長年弱小団体として日本国内で燻り続けていた自分たちに、御堂は目も眩む様な資金と、大量の武器と、共に戦う人間。そしてダム占領計画とそれを実行する行動力を持ってきた。
爆破テロなど自分たちの手に余る。荒唐無稽だ。
初めはそう感じていたはずだった。
だが御堂と話をしているうちに、何故か自分たちには何だって出来るような気になり、そして崖から転がり落ちる様に現在の境遇にある。
まさに、口車に乗せられた。
御堂は蛇だ。巧みな言葉で、そして金で出来た果実で人の心を惑わせる。
気付いた時には、もう取り返しのつかない状況に陥っているのだ。
「一人殺しただけでSATの動きを止められたんだ。割のいい抑止効果じゃないか。
そうだ、これを渡しておく。ダムに仕掛けた爆弾の起爆装置だ。ここぞという時に使え。
テレビのリモコンみたいに失くしたりするんじゃないぞ」
御堂は安物の携帯電話を相野に手渡す。
これに登録されている番号に通話すると、仕掛けられた高性能爆薬がダムを吹き飛ばすのだ。
そんな危険な物を、本当にテレビのリモコンのような気軽さで持たされて、脂汗を全身から滴らせる相野と対照的に、御堂は気楽そうに笑う。
「御堂さん、応急処置終わりました」
御堂の連れの青年が、全身血まみれになって駆け寄ってきた。
彼は今まで負傷者の手当てをしていたのだ。
御堂は頷き、相野を置いて処置の手際を確認しに行く。
「どこまで
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