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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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収した携帯電話の中にあった番号だ」

「あの電話には、何の手がかりも無かったのでは?」

 昼間、石室がそう言っていたはずだ。
 蔵馬の問いに答えるのは常盤だ。

「あの携帯にあった通話記録は、公衆電話からの物だけだったんだ。それも二度と同じ公衆電話は使われていない。
 周囲の防犯カメラや聞き込みを諜報部がしてくれたみたいだけど、結局手がかりは掴めなかったはずだよ」

 常盤の説明に頷き、佐久間は説明を続ける。

「今回のテロリストは、他のテロ組織と繋がっている可能性が高い。
 故に、SATがテロリストを全員射殺したり、連中が自爆してしまう前に、身柄を押さえる必要があるのだ。ここまでで何か質問は?」

 沈黙を受け、佐久間は作戦内容を告げる。
 職員と義体の配置が決められ、会議が大方終了した頃。
 佐久間が持ち込んでいた無線機から通信があった。

『こちら石室。テロリストが人質を一名殺害。現状は膠着しています』





 センターでの会議が始まるより三十分前。
 奥多摩の山中。普段は獣と虫と疎らな観光客しかいない小河内ダムが、今人知れず未曾有の大事件の渦中にある。
 小河内ダムに到着したSATは三班に分かれた。
負傷者を乗せた輸送車を司令塔としてダム北東の浅間神社に置き、二班は国道411号線から分岐した山道に入ってダム下の発電所へ。
 三班はそのまま国道を進み、ダムの堤部を制圧する。
 ダムに近づいてくるSATの輸送車を、暗視装置を頭に着けた御堂が提頂部から眺めていた。
 SATが到着するより数分早くにダムへ戻ってきた御堂は、大型車でも楽に通れそうなほど広い天端を渡る。

「ぎりぎり間に合ったな。みんな気を引き締めろ。SATが来るぞ」

 天端の三分の一ほど進んだ場所の、国道に面した側に土のうでバリケードを築いた。
 反対側の山道に続く側は、資材を運搬するのに使ったトラックで塞いでおいた。
 ここには日本山林保護戦線のメンバーと、食い扶持を探していた密入国者を雇って、合計十二人配置している。
 それぞれにAK-47を持たせてあるが、昨日今日初めて銃を触った連中だ。
下の発電所内で戦闘になれば邪魔にしかならないので、開けた直線的な戦場になるこの場所を守らせている。
 SAT相手では時間稼ぎにしかならないだろうが、構わない。精々戦況を膠着させてくれればいい。
 だが御堂が用意した戦闘員たちは、来るべき精鋭部隊との戦いに恐れ戦き震えている。
 これでは戦いが始まった途端に瓦解してしまいそうだ。
 御堂はだらしない同業者たちに内心肩をすくめながら、土のうの陰に隠れて震える彼らに、背後から囁きかける。

「どうした、君たちが望んでいた戦いが、もうすぐ始まるんだぞ、日本山林保護戦
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