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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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誰もが、血生臭い事件を連想した。
「きゅ、救急車を呼べ!」
居酒屋の店主が、慌てて店内の従業員に指示を飛ばす。
「大丈夫です、もう呼びました」
そう言って場を収めたのは、やっと追い付いた常盤だ。
「アザミちゃん大丈夫?」
「はい。ただ、ちょっと脚が」
「分かった。帰ったらお医者さんに診てもらおう」
常盤はそうアザミに笑いかけながら、扇動家の体をまさぐる。
傍から見れば、男の具合を確かめているようにしか見えない手つき。そしてズボンのポケットから、携帯電話を抜き取った。
どうやら常盤には、スリの才能があるらしい。
アザミは担当官の新たな一面に苦笑する。
「よし行こう。人が増えてきた……すみません、この人をお願いします!」
「あ、ああ……」
突然の非日常に面喰っている店主に扇動家を押し付け、常盤はアザミの手を引いてこの場を後にした。
デモ隊の暴動から逃れた人々が、新しい事件を見つけて集まってくる。
この事件は、世間にはただの交通事故として扱われ、デモ隊の暴動のニュースの陰に隠れることになるだろう。
渋谷の街を覆う、怒声と悲鳴。
それらが、常盤達の存在を綺麗に掻き消した。
「……トキワさん」
「どうしたの?」
「ごめんなさい。関節が外れました。歩けません」
「え? うわっ! 膝が逆方向に! 隠して隠して!」
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