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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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様だ」

 ブルゾンと巨漢が落としたP220を見て笑い、ブルゾンの方が拳銃を拾い上げて蔵馬へ向ける。
 二人の動き、何か格闘技をやっていた者の動きだ。
 さすがに銃と刃物で武装した格闘技経験者を二人同時に、素手で相手にするのは分が悪い。が、まあ勝てないことはない。

「おい、それもう弾切れだぞ」

「え?」

 ブルゾンは蔵馬の言葉に目を奪ったP220に落とす。巨漢の意識も一瞬逸れた。
 十分な隙だ。

「――シッ」

 溜めておいた足のバネを開放して、床を蹴る。瞬時に巨漢との間合いを詰めブッシュナイフより内側に入った。
 右掌底鉤突きを顎に打つ。次いで左アッパーカット。巨漢が思わず後ずさり距離が開いた。
 アッパーの引手で腰を回転させ、全力の右フックを巨漢の左脇腹にめり込ませる。拳の感触で、肋骨を砕いたのを感じる。
 巨漢の体から力が抜けた。初撃の顎が効いて、脳震盪を起こしているのだろう。
 蔵馬は巨漢の襟首を掴んで無理矢理立たせ、ブルゾンに撃たれないように盾にする。
 そしてそのまま突っ込んだ。

「くそ!」

 ブルゾンは突撃を避けたが、もう蔵馬の間合いだ。ブルゾンの拳銃を持つ手に、蔵馬の回し蹴り。P220は再び宙を舞う。
 銃を失ったブルゾンは、ナイフで切り掛かってくる。
 蔵馬は紙一重で躱し続け、間隙を縫ってジャブをブルゾンに放つ。三発目のジャブが、顎に綺麗に入った。
脳を揺らされブルゾンの膝がカクンと折れた。蔵馬は身を回してブルゾンの襟と手首を掴み、そして手本のように綺麗な背負い投げを放つ。だが綺麗なのは投げるまでで、投げたブルゾンの胸に自分の肘を突き立て、一緒に地面に飛び込んだ。床に叩き付けられた衝撃と蔵馬の肘に挟まれて、ブルゾンの肋骨は粉々に砕ける。

「ふう」

 蔵馬は立ち上がると一息ついて、落としたP220を拾う。
 部屋の中は、蔵馬が作った重傷者の山が出来ていた。
 近頃満足に訓練出来ていなかったが、案外体は動くものだ。

「おい、モモ」

 隣室のモモに呼びかけると、モモははいはいーと呑気な返事を返す。大して心配はしていなかったが、無事だったようだ。
 スマフォを出して、待機班に作戦終了の連絡を入れた。数分で諸々の回収に来るだろう。

「そっちはどうだ」

 蔵馬が隣室を覗くと、返り血で顔を真っ赤にしたモモと、死体が四つが出来ていた。
 全員撃ち殺してしまったらしい。

「……おい、生け捕りにしろと言ったろ」

「え? ……あ!」

 つい溜息を吐く。まあ、全員とは言われていない。昨日ミスをして叱ったばかりだ。これ以上責めたら、必要以上のストレスを生じさせることになるかもしれない。

「まあ、いい。こっちで何人か生け捕りにした」

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