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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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挺と、その弾薬を六百発だ。AK-47の装弾数は三十発だから、一艇あたりマガジン二本分の弾しかない。たったこれっぽっちで、一体何と戦うつもりなのだろう。
「原始人なら対話を試みるが、生憎我々の敵が通じない野獣だ」
答えるのは荷卸しを眺める集団の、リーダー格の男だ。
「なるほど、確かにハンティングには十分だ。何を追うんだ? キジか?」
銃の買い付けなど、これまで日本では暴力団相手に年に数回あるか無いかだった。だが最近はよく売れる。客は、いわゆるテロリストだ。数年前までは日本では虫の息どころか存在していたのかどうかも怪しい連中だった。近ごろ何処から湧いたのか、日本のアンダーグラウンドをチョロチョロとうろつき始めている。
テロリスト達は受け取ったAK-47をそれぞれに行き渡らせ、動作点検をさせている。コンテナから降ろされた弾薬をすぐマガジンに詰めて、銃に装填する。
「おいおい、せっかちな連中だな」
「代金は支払っただろう」
「そりゃそうだが、いきなり戦支度されたらこっちもビビるさ。だいたい何
だ、ぞろぞろと手下連れてきやがって。目立つったら無いぜ」
「最近我々の仲間が、頻繁に襲撃を受けているのだ」
「それで早速、買いたてのオモチャを使おうってか」
リーダーの男はこれ以上応じず、納品書を確認し始めた。
襲撃を警戒するのは結構だが、目立つ彼らに吸い寄せられて、警察がやって来たらどうするつもりなのだろうか。自分たち密売人は、敵の襲撃よりもお巡りさんが怖いのだ。今後彼らからの注文は、受けない方がいいかもしれない。
売人の男は再び肩をすくめて、ジャケットの下に隠したマカロフPMを撫でる。
だが襲撃事件の話は、彼も聞いたことがある。
日本での密輸品取引は、警察が介入してくることは間々あるが、敵から襲撃を受けることはまず無かった。そういう意味では何とも治安がよろしく、安心して非合法活動が出来たものだった。
それが去年あたりから、取引中に何者かに襲撃に合う同業者が出始めたのだ。
いや、襲撃というよりは神隠しに近い。取引現場にいた人間は皆消え失せ、商品も掻っ攫われる。後に残るのは、僅かな血痕と弾痕だけ。
まるで都市伝説だが、実際に起こっている事件なだけに笑えない。
突然、テトリストたちが騒がしくなる。
「どうかしたのか?」
「見張りに周らせていた者が、人を捕まえたらしい」
「おいおい、こいつらの他に見張りまで連れてきてたのか」
「当然だ」
「あのなぁ……」
こいつらは悪事を働いた経験に欠けるようだ。
人が増えれば増えるだけ、一般人に目撃される危険は増す。そうすれば通報される可能性は桁違いに増すのだ。見張りをその辺にブラつかせるなんて論外だ。
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