第17,5話 奇襲的外交、そして…
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スマイルと言った感じの微笑みをいっさい崩していない彼女からのもう一つの提案。
それは、「今度の対戦を正式なものとしてではなく、賭事として勝負がしたい」というヒドく試召戦争の本義を揺るがすような提案だった。
これにはさすがの木下さんも毒気抜かれてしまったような表情になっている。
一体、何だって試召戦争の宣戦布告に来た僕らに戦争ではなく賭事にしようと切り出してきたのか。
霧島さんも目を丸くし、やがていつもの熟考するための姿勢をとる。
「ちなみに、私たちはあなた方Aクラスに九分九厘勝てると踏んでいます。Aクラスのお三方にいうのも失礼ですが9.9%ではありません。」
恐らくこの交渉での切り札を投入してくる妃宮さん。
「私たちのカードは既にご存じのようにAクラス包囲網です。その網がどれほどなのかご存じでこちらを牽制なさるのが今度の交渉と私は心得ております。このような断然有利な状況なのです、本来であるならばあなた方から提案などこちらにとってはそれらの計算を覆し、その上クラスの設備が下がる可能性の方が濃厚になります。そのような戦いを誰がするでしょうか。」
その言葉に僕と木下さんは息をのんだ。
「木下さんは今の言葉をブラフだと思うかい?」
「そうね……妃宮さんじゃなくて、交渉の席にいるのが坂本ならブラフだって断言するわね。」
手元の携帯で木下さんとメール上で相談をする。
さすがに声を潜めたところでこの距離だ、彼女の耳に入ってしまうだろう。
恐らく、聞こえたところで僕らの相談に首を突っ込むことは無いだろうことは確信できるけどさすがにそんな剛毅には出られない。
「まさか、D、EもAクラスの包囲網の一翼を担っているのか?」
Dクラスの代表平賀君が、以前の対BC連合戦でFクラスに荷担しているのは僕らの知るところだ。
「そもそも、Dクラスに攻め込み彼らの設備をそのままにしておいたという実績は対Aクラスを見据えたものだったのだろうか。」
「確かに最初からFはAに攻め込むと公言していたのは事実」
さまざまな憶測が僕と木下さんの間に飛び交う。
代表の霧島さんは相変わらずぴくりとも動かない。
僕らAクラスはこの外交テーブルに於いて完全に押されていた。
「………妃宮さん、賭事にはこちらからも要求ができるの?」
長い思考の末に何かを導いたらしい代表がようやく発言をする。
どうやら妃宮さんからの要求を飲む心づもりらしい。
「勿論です、ただし要求の中には相手の要求を突っぱねるという要求を含んでいただいても構いませんよ。」
即答するFからの外交上最強の刺客に、木下さんと僕はもう手出しができないでいる。
メール上の議論は混沌とし始めていて、そもそも何故彼女一人がここにいるのかという点にまで及び、更に僕たちの疑心感を深める内容になっていた
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