新たな刀
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ある者は、情報屋とともにアインクラッド中の武器の情報を集めた。
ある者は、この日のための規制線を張るために様々な伝手を用意した。
そして皆、前日に素材が集まったという報を聞き、この武器のレシピのことを知っている職人たちがアインクラッド中から集まってきた。
攻略組の武器をメンテナンスするために最前線まで行っていた鍛冶職人も仕事を弟子に任せて、戻ってくるぐらいだ。
――――カーンカーンカーン…
静まり返った鍛冶屋の中で、鉄を叩く音だけが聞こえてくる。
そしてついに鉄が光り出した。
――――ごくっ
皆一斉に息を飲む。
目を焼くような光の中どんどんと鉄は形を変えていき…
鉄は大太刀の形をとった。
大太刀の刃はなめらかな反りを持ち、切っ先は刃の広い大帽子。
刀身は細くも分厚く、そして刀身は波紋も見えないほどに銀色に溶け合う。
柄は短く、鈍色の重い木瓜型の鍔を持つ。
形は質素で簡潔なものだが…
「…な、なんだこのオーラは」
誰かが呟いた。
その大太刀の放つオーラにその場にいる職人たちだけではなく周りの規制線を張っていた職人たちをも固まった。
規制線を張っていた職人たちは鍛冶屋の中は見えない。
しかし鍛冶屋の中から禍々しいまでのオーラがあふれでてきているのだ。
「《鑑定》」
打っていた少女がスキルを立ち上げ鑑定に移る。
「銘《贄殿》…ステータスは…あれ?」
少女…そばかすがトレードマークともいえるリズベットが声を上げた。
「なんだなんだ!?」
この日のために鑑定スキルをあげていた職人がリズから大太刀を受け取り鑑定する。
この職人たちの中でもトップクラスの鑑定スキルを持つ男だ。
「650?」
しかし鑑定スキルを上げていた職人でも銘と攻撃力、耐久度、製作者しかわからない。
ここまでのオーラを放つ大太刀だ。
特殊なスキルがあってもおかしくはない。
そして攻撃力650と言えば今まで出回っているどんな武器よりも高い攻撃力だ。
まだまだ階層があがればこれを超える武器は普通に出てくると思われるが、現時点では最強クラスの武器であるといえるだろう。
まぁ未強化で650もあれば十分なのだが。
周りの職人がざわめきだす。
攻撃力650の大太刀がプレイヤーメイドでできたとすると自分たちも作れるはずだと意気込む者。
作成した少女の鍛冶スキルがまだ完全習得ではないことを考慮するとまだまだこの武器以上のものが作れるということだ。
「ユウ、振ってみて」
リズは返してもらった贄殿を使用者であるユウに渡す。
ユウは渡された贄殿の軽さと攻撃力に驚きながらも、軽く振ってみる。
贄殿は以前からユウに使われていたようにユウの手になじんだ。
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