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DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第十七話
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、エリィの大斧はただ巨大かつ切れ味が鋭いのみで、これと言った絶望的な特殊能力は特にない。この一点ではとっつきやすい、と言えなくもないだろうが、本人の実力があまりにも高すぎるため、結果としてそれは突破口にはならない。

 追ってきたエリィの攻撃をひたすら避ける。避ける。避ける。時折《ノートゥング》の一撃を繰り出す者の、その攻撃は彼女に全く効果を及ぼしてくれない。
 
「なんじゃ……つまらんな……赤いの、お主にはもう飽きた――――次はお主じゃ、緑色の雑種!」

 そうこうしているうちに、エリィが大きなため息と共にそう言った。

 同時に、信じられないスピードでカズの後方へとダッシュ。ほとんど転移に近い速度でリーリュウの目の前に出現した。

「しまった!」

 カズが振り向いたときにはもう遅い。エリィは巨大な刀身を振り下ろしていた。

「ぐぅッ!」

 とっさに《冥刀・岩覇蒼炎》で受け流しながら回避を行うリーリュウ。衝撃が走ったのか、顔をしかめる。だがそのおかげで、リーリュウ自身にはさしたる傷跡もなく、彼女の刃から逃れ出る。

「ふむ……ではこれはどうじゃ?」

 猛撃は止まらない。

 エリィはその巨大な斧を消すと、今度は少し小ぶりな両手斧を出現させた。刃の片方には毒々しい緑、もう片方には禍々しい真紅の光がまとわりついて、ぬらぬらと光っている。

 どこか機械めいた外見のその斧をうっとりとした表情で撫でて、エリィが言う。

「《フェニカス》。機械騎士とクロキが作った斧じゃ。この一撃を受けられること、むせび泣いて狂喜するがいい!!」

 ぶぉん!

 轟音と共に振り上げられる邪悪な刀身。リーリュウが二刀で応戦し、カウンターを打ち出そうとするものの、上手くエリィに攻撃がヒットしない。

 露見したのだ。リーリュウの弱点が。

 リーリュウは、実は近接戦闘がそこまで得意ではない。

 一応一通りの刀剣術は取得しているものの、彼の本業は《ギア》である《風を呼ぶ笛(エオス)》による高速多重支援(バフ)使用。彼は後方支援型なのだ。

 リーリュウとハクガが後衛、セモンとカズが前衛を務めて、初めて完成する理想陣形――――それがない今、リーリュウにとってはつらい。

 カズの頭でもそれが導き出せたのだ。エリィにはとっくの昔に見抜かれていたのだろう。一瞬の隙をつかれて、徐々に、徐々に、リーリュウが押されていく。

「くっ……」
「くくくく……やはりその程度か。クロキの国にな、『虚実すら無い。両手に剣を一本ずつ持っていても使えないのなら、片手に握った方が強い』という言葉があるそうじゃ。たしか『ゴリンノショ』とか言っておったかの?」

 その言葉は、カズも知っている言葉だった。かつて燕返しの
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