第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury:『Necromancer』V
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能力《テレキネシス》』による拘束と『精神感応』による精神破壊。ほぼ、詰みの状態だ。
だからこそ、奮い起つ。今、倒れてはいけない。背後の彼女の為? 確かに、それもある。だが、何よりも────対馬嚆矢は変態紳士だ。例え死体でも、それが女性であるのならば。
「……終わりに、してやる」
黄金の蜂蜜酒色の瞳、輝かせて。目の前の死体二つに憐れみを。望む望まざるに関わらず、『あるがままの人間』として終わらせる為に。その自我を、貫き通す!
「飢える────飢える、飢える、飢える!」
放たれた溶鉱と火炎礫、拘束と精神破壊を『竜尾の印』が阻み、砕けた。最早、残るは生身だ。抗いようもない。
だが、知るが良い。砕けた四つの印は、虚空に消えた。四つの御印は、『この世ならざる虚空』に御座す『神』に届いたのだ。
泡立つように、ショゴスが虚空に球を為す。やがてそれは、導かれるように形を成して。
「来たれ────ヨグ=ソトースの十三の球体従者。汝が名は『エリゴル』、鉄の冠を頂く赤い男なり!」
『Ka────kakakakakaka!』
現れ出た悪魔の一柱、赤い道化じみた矮躯の男。まるで戯画のような無茶苦茶なデザイン、見れば間違いなく精神に異常を来そう。マトモな人間であれば。
『人が壁をすり抜ける確率は、如何に』
「……ックソッタレ」
その囁きが耳を打つ。恐らくは、嚆矢以外には理解できまい。エリゴルの加護は、『戦いの知識とこれから起こる戦い』。役目を果たしたエリゴルが消える。後には、力を使い果たしたショゴスが残るのみ。これで、もうショゴスの防御も使用不能。だが……切り札足り得ない。意味の分からなかった言葉など。
(『人が壁をすり抜ける確率』……ンなもン、有る訳が!)
そして、止めの一撃が放たれる。四つの能力による挟み撃ち、明らかな過剰威力が、嚆矢に向けて、構えられて。
「……『トンネル効果』?」
「──え?」
言葉は、背後から。意外なほど、近い場所────
「『原子は陽子の周りを小さな電子が回転して構成してるものだから、電子の回転の周期が上手く会えば、壁をすり抜ける事も出来る』……だとか何とか、昔、都市伝説のサイトで見たような……」
即ち、涙子の口から漏れて。明らかな間違いだ、浮薄な情報にすぎない。そもそも、それは量子論の誤った解釈の一つに過ぎず、裏付けも何もない。だが、だが。
「……成る程ね、だから『これから起こる戦い』か」
その言葉の意味
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