第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury:『Necromancer』V
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つまり、草食獣に肉食を強制したとでも言うべきか。受け付けないものを押し付けた結果、破綻しかけたのである。
否、それも問題ではない。問題なのは────
「『二重能力者』だとでも言う気かよォ、あの女は」
吐き気を呑み込んで、睨み付けた先。ぎこちない動きで立っているだけの、蠢く死体を。
有り得ない事だ、一人の人間が二つの能力を持つなど。。理論として否定された、学園都市の常識の一つ。科学全盛のこの世において、絶対の詔だ。
だが、知っている。能力では無理でも、魔術ならば幾らでも持てる。では、あの娘は魔術師だった?
それこそ、莫迦な。あの制服は長点上機学園の物に相違無い。置き去りなら兎も角、この学園都市で能力開発を受けていない学生など居ない。
そして能力開発を受けた者は、余程の幸運と能力に恵まれない限り、生涯、魔術は使えない身体となるのだ。例外こそあれど。
──否、違う。死人には、演算を必要とする能力も生命力を必要とする魔術も使えない。つまり────
だから、結論に辿り着く。あのゾンビが使う技は。
(全天周警戒……捜すぞ、ショゴス! 必ずどこかに術者がいる!)
『てけり・り。てけり・り!』
使役する魔術師、それを叩く。確かに、『誓約』は死体には働かない。今なら、問題なくあの死体を『葬る』事も出来る。しかし、都合が良すぎるのだ、何もかも。まるで、誂えられたように。何か、裏がある。致命的な罠の気配を感じた。
「あ、あの、対馬さん……」
「ああ、涙子ちゃん。もう少し待ってくれ」
背後の涙子の不安げな声に、漸く思考を切り上げる。余り不安にさせるものでもない、
わざと名前で呼び掛けて、安心させようと。実のところ、進退窮まっているだけだが。
「────ッ……!」
刹那、第二防呪印『キシュの印』と第三防呪印『ヴーアの印』を発する。その身体は『念動能力』に縛られ、更に精神を『精神感応』に掻き乱されて。もう一方のゾンビ、『火炎放射』だけではない。浮かぶ灼熱の液体金属、それを操る『液体操作』か何かの使い手。その放った炎の礫と、長く延びた溶鉱の鞭打に。
精神攻撃と物理攻撃の持ち分け、大したコンビネーションだと舌を巻きながら。
「……ッ……さて、そろそろ本気でいくか。きな、お嬢さん達?」
残る防御は最終防呪印『竜尾の印』のみ、対して敵には『火炎放射』と残弾二発の液体金属、加えて『|念動
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