第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury:『Necromancer』V
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ビングデッド》の前に滞空する。その意味を図りかね、嚆矢はゴミ箱の方を睨み付ける。
しかし、おかしい。そう、おかしいのだ。何故ならば、『念動能力』使いは逆の死体の筈。彼方は、『火炎放射』の筈なのだから。
その疑念に答えるように『火炎放射』が、ゴミ箱に触れる。強固な金属製の直方体の箱、それが……融解し白熱、沸騰した液体金属の塊になるのにそう時間は掛からなかった。
その意味に気付いた瞬間の『クソッタレ』も、何とか呑み込んで。振り撒かれた灼熱の溶鉱に備えて第一防呪印『竜頭の印』を発動する。
「ッ────!!」
撒き散らされた灼熱の散弾を、空間に浮かぶ魔法陣が防ぐ。先程の空き缶によるモノとは較べるべくもない範囲と個数、そして殺傷力。『竜頭の印』が軋み、燃え尽きつつも防ぎきった。後に残ったのは焼けた壁と路面、呼吸すら苦しい熱気のみ。
だが、何よりも面倒なのは────それが一部に過ぎず、まだ四つの金属液球が浮いている事!
(クソッタレが……あれじゃあ、四発目で殺られる……!)
確かな事だ。何故ならば、この熱金属液塊を操っているのは『念動能力』。『火炎放射』は、手を出していない。
では、どうするか。簡単だ、殺られる前に元を絶てば良い。
その結論に従い、『念動能力』に向き直る。見ればその死人は答えるかのように、真っ直ぐにこちらを向いており────
「────が、ア?!」
視界が歪むかのような、衝撃を感じた。その刹那、目ではなく、耳からでもない。直接、脳味噌に情報が流し込まれてくる。こちらの都合などは当然にお構い無し、廃人になろうと構わないとばかりの圧力で。
(────讃エヨ、遥カナル惑星とぅんっあノ鐘ヲ! 崇メヨ、壮麗タル鐘ノ音色ヲ! 偉大ナリシ、我ラガ“嘲笑ウ大吊リ鐘”ヲ!!)
幻視する異星の風景と信仰、幻聴する人外の声色と思考。まるで、激流の最中の木の葉のように意識が揉まれて消えそうになる。
それを何とか、膝を付かずに。ルーンの加護と食い縛った歯が頬肉を食い破る痛みで辛うじて堪え忍んだ。堪え忍んで、思考を高速で回転させる。
「巫山戯やがって……『念動能力』じゃなくて『精神感応』だと?!」
『精神感応』、即ち他者との精神活動の共有を可能とする能力。それを今、受けたのだ。無論、それだけならば不快な程度だろう。人間同士であれば、だが。
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